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カメラの大林オンラインマガジン プロ写真家レビュー! 写真家 鈴木文彦 × オールドデジカメが面白い!

写真・文:鈴木文彦/編集:同会社PCT

いま若者が夢中になる“オールドデジカメ”とは?

レトロブームの波は、いま“オールドデジカメ”へと広がっている。かつてはジャンク扱いだったコンパクトデジカメやCCD搭載一眼レフが、独特の発色や粗さを武器に再評価され、若い世代の定番アイテムになりつつある。本記事では、写真家・鈴木文彦氏がオールドデジカメの定義や選び方、注意点を解説しながら、いまこそ手にしたい名機を紹介。スペックでは語れない、その魅力に迫る。

鈴木文彦
フリーランスエディター/フォトグラファー。編集プロダクション経営、映画ライターを経て、2007年にロモグラフィーを特集した写真雑誌「snap!」を創刊し、写真の世界へ。「中判カメラの教科書」「31年目の写ルンです」「レンズの時間」「オールドデジカメ・ファン」など、趣味の写真・カメラに関する数々の雑誌を手掛ける。全ページ執筆・撮影のオールインワンがモットー。現在はムック「FILM CAMERA LIFE」の制作をライフワークとしながら、写真・カメラ関連の執筆・撮影・企画、企業・地域創生・取材などを中心にフォトグラファーとしての活動も行っている。

はじめに

レトロブームが継続的に続いている。レトロブームの中でカメラが担う役割は大きく、近年ではフィルムコンパクトカメラや写ルンですがブームとなった。そしていま、もっとも熱いのがオールドコンデジ。かつてジャンク扱いになったり値段が付きづらかったのが嘘のように人気となり、若者のバッグやポケットの中にコンデジが定番アイテムとして入り込んでいるのだ。本コラムでは、オールドコンデジをはじめ、オールドデジカメのオススメの機種を紹介していく。

オールドデジカメの定義

オールドデジカメにはキチンとした定義というものは存在しない。敢えて言うならば、メーカーの保証などは完全に切れていて「使い潰す」のが大前提の旧機種であり、フィルムカメラからデジタルカメラに以降が進む過渡期に登場したカメラたちのこと。1990年代後半から2010年以前くらいまでの機種が中心だ。筆者は2022年にまだ「オールドデジカメ」という言葉がなかったときに「オールドデジカメ・ファン」というムックを制作したが、当時は中古価格が付きづらい旧機種というざっくりとしたセレクトをした。AFレンズの初期のものもオールドレンズの仲間入りをしているのと同様に、その定義はふんわりとしている。

オールドデジカメで撮影をする際の注意点

「バッテリーの劣化」
最大の敵はバッテリー劣化。そしてフリマサイトやジャンクで購入する際は、バッテリーチャージャーの有無も重要なポイントとなる。当時物のバッテリーは劣化しきっており、数カットで撮影できなくなるものもあればパンパンに膨張して取り出すのも苦労する場合すらあり。代替品が見つかるか、または現在も新品購入できるものがあるかなどは調査してから購入しよう。

バッテリーは劣化しているのが当たり前。バッテリー・チャージャー付きだからといって安心せず、代替品が見つかるかもリサーチしてから入手したい

記録メディア

メモリーカードなどの記録メディアもオールドデジカメで使われていたものは入手難であることは多い。ソニーの機種ではマストの「メモリースティック」(さまざまな種類がある)、ペラペラで大きい「スマートメディア」など、メディアそのものがレトロだったりする。中古で購入するしかないものもあれば新品が見つかるものも。SDカード対応の場合も、世代と最大容量に制限があることが多いので注意しよう。また、PCにデータを取り込む「カードリーダー」も必須。ここで紹介したメディアをオールインワンで使うことができるものが新品で見つかる。

左上から、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、メモリースティックDUO、メモリースティックDUO→メモリースティックアダプター、XDピクチャーカード、SDメモリーカード、SDHCメモリーカード、SDXCメモリーカード

オススメ機種の紹介

CCDセンサー搭載一眼レフ

オールドデジカメが気になりはじめる理由はいくつかあるはず。中でも「CCDセンサー搭載」というのは殺し文句のひとつで、現在のCMOSセンサー機とは異なる濃密な発色と独特の階調がある、というのはひとつの神話のようにもなっている。2008年くらいまでの多くのデジカメがこれにあたるが、一眼レフ+CCDセンサー機はいまでも色褪せない画質が楽しめるためオススメだ。ニコンD200、コニカミノルタα-7、ペンタックスK10Dなど多くのヒット機が存在。

OLYMPUS E-300 発売年:2005年1月 センサーサイズ:フォーサーズ
レンズマウント:フォーサーズシステム・マウント 有効画素数:約800万画素

CCDセンサーはほとんどがソニー製だが、オリンパスのフォーサーズマウント時代の数機種はコダック製CCDセンサーを搭載している。そこにオリンパスのレンズ・画像処理の味付けが加わると濃厚なブルーが特徴的な写真となり「コダックブルー」や「オリンパスブルー」などと称され伝説化。このE-300はいま見ても洗練されたフラットデザインで所有欲もくすぐる。ちなみにミラーはハーフサイズフィルム一眼レフ「PEN-F」と同様に縦に付いているのだからたまらない!

OLYMPUS E-300・25mmF2.8・絞りF2.8・1/2000秒・ISO100

OLYMPUS E-300・25mmF2.8・絞りF5.6・1/2000秒・ISO100

Nikon D200 発売年:2005年12月 センサーサイズ:APS-C
レンズマウント:ニコンFマウント 有効画素数:約1020万画素

CCDセンサー遊びをしたいのなら、まず候補に挙がるのは見つけやすいニコン一眼レフ。中でも、中級機としてカメラそのものの質感が高いD200は人気だ。ハイライトは飛び気味、発色は濃い目、どこか暖色の膜がかかっているような描写をするが、現代的な緻密さと階調の豊かさとは異なり、不完全な部分が印象的な描写に直結している。レンズもボディも見つけやすく、オールドデジカメの入り口としてオススメ。

ニコンD200・35mmF2・絞りF2.8・1/1000秒・ISO100

ニコンD200・35mmF2・絞りF2.8・1/500秒・ISO100

KONICA MINOLTA α-7 DIGITAL 発売年:2004年11月 センサーサイズ:APS-C
レンズマウント:ソニーA/ミノルタA 有効画素数:約610万画素

他メーカーの濃厚かつハイコントラストな描写とは異なり、ナチュラルな発色が特徴的。ミノルタAFレンズ群も味わいのある描写が持ち味。雰囲気抜群の写真を撮ることができる。ミノルタ→コニカミノルタ→ソニーという運命を辿るAマウントのカメラだが、後のソニーAマウントのレンズも装着できるし、ミノルタのフィルムAF一眼レフ機も同時に楽しめるため実はコスパがとても高い。

KONICA MINOLTA α-7 DIGITAL・50mm F1.7・絞りF1.7・1/400秒・ISO100

KONICA MINOLTA α-7 DIGITAL・50mm F1.7・絞りF1.7・1/160秒・ISO100

人気爆発のオールドコンデジ

若者を中心に人気のオールドコンデジ。スマホではなく敢えてカメラを持つというスタイル、そしてレトロな粗さと緩さがあるデジタル画質が人気を呼んでおり、完全に写ルンですやフィルムコンパクトに取って代わっているが、これは「家のアルバム」が何によって撮られているかが顕著に反映さえていると思う。我が子を撮るためのアイテムがサイバーショットなどだった時代に育った子が大人となり、その写りとか記憶の中の懐かしいカメラの形としてオールドコンデジを手にしているのだろう。キヤノンのIXYシリーズ、カシオのEXILIMシリーズなどコンデジを牽引したシリーズはどれも人気だ。

FUJIFILM FinePix F200EXR 発売年:2009年2月
センサーサイズ:1/1.6 型 レンズマウント:6.4〜32mm F3.3-5.1(換算28~140mm)有効画素数:1200万画素

富士フイルムのFinePixシリーズはコンデジの世界ではかなりの勢力を誇った。さすがはフィルムメーカーだけあり、写真店のミニラボなどに通じる技術も採用されているそうだ。この機種には人の眼の構造を採り入れた「スーパーCCDハニカムEXR」を初搭載。モードには「EXR」という項目があり、最良のセンサーの使い方をカメラが自動判断してくれる。特に明るいシーンではクリアさ秀逸。

FUJIFILM FinePix F200EXR・絞りF4.6・1/380秒・ISO100

FUJIFILM FinePix F200EXR・絞りF4.6・1/380秒・ISO100

Kodak EasyShare V705 発売年:2006年11月
センサーサイズ:1/2.5型 レンズ:ウルトラワイド:3.8mmF2.8(換算23mm)、光学ズーム:6.4~19.2mm F3.9~4.4(換算39~117mm)有効画素数:約710万画素

換算23mm相当の広角単焦点レンズとズームレンズをデュアル搭載した個性派。KodakはいまもOEMでコンデジを新品で発売しているが、当時物はやはり格別で、レンズはなんとシュナイダー製! レンズバリアの開閉のスピード感、手ブレ警告機能などギミックも満載でおもしろい。粗いデジタル画質とビビッドな発色の組み合わせを楽しみたい。

Kodak EasyShare V705・絞りF4.0・1/160秒・ISO50

Kodak EasyShare V705・絞りF2.8・1/80秒・ISO50

PENTAX Optio I-10 発売年:2010年2月
センサーサイズ:1/2.3型 レンズ:5.1~ 25.5mm F3.5~5.9(換算28~140mm) 有効画素数:約1210万画素

往年の110フィルムカメラ「auto 110」のデザインをオマージュ。レンズは固定式ながらレトロな丸みを帯びたデザインはかわいらしく、また小型軽量のため常に持ち歩くことができ、筆者も気付けば出張の相棒カメラになっていた。暗めのシーンでの望遠側はかなりノイジーだが、日中であればひと通りの撮影をこなしてくれる。

PENTAX Optio I-10・絞りF5.9・1/250秒・ISO160

PENTAX Optio I-10・絞りF4.4・1/80秒・ISO500

ストーリーのあるオールドデジカメを楽しむ

オールドデジカメであっても、せっかく手にするならば「選んだ理由」がしっかりとあるものを使いたい。そのような機種は中古市場でも評価されているものが多いが、それだけ魅力的であるということ。フィルムのクラシックカメラに接するような気持ちで使ってみてはどうだろう。

CONTAX T VS DIGITAL 発売年:2003年2月
センサーサイズ:1/1.8型 レンズ:7.3〜21.9mm F2.8~4.8(換算35~105mm)、有効画素数:約500万画素

高級コンパクトの代名詞「CONTAX T」のデジタルカメラ版。さすがコンタックスブランドだけありチタン外装で手触りは抜群。レンズはもちろんツァイス製のバリオゾナーだ。しかしいくら高スペックに徹してもセンサーは1/1.8型でデジタルノイズが目立つレトロな味わい。ブラッククロームモデルもあり、どちらもプレミアム価格となっている。高級感+レトロ描写のアンバランスさはとても贅沢。

CONTAX T VS DIGITAL・絞りF6.7・1/640秒・ISO80

CONTAX T VS DIGITAL・絞りF4.8・1/450秒・ISO80

PENTAX K-01 発売年:2012年3月
センサーサイズ:APS-C レンズマウント:ペンタックスK(KAF2) 有効画素数:約1628万画素

オールド扱いするには比較的新しい機種だが、この1台でなければならない、という点でセレクトしている。スクエアなデザインは、かの著名なプロダクトデザイナーであるマーク・ニューソンの手によるもので秀逸。パンケーキレンズ「smc-PENTAX-DA 40mmF2.8 XS」と組み合わせて颯爽とスナップに使いたい。15年近く前の機種だが、いまだにスタイリッシュに愛用している方を目にする名機だ。

PENTAX K-01・smc PENTAX-DA 40mmF2.8 XS・絞りF8・1/400秒・ISO100

PENTAX K-01・smc PENTAX-DA 40mmF2.8 XS・絞りF3.6・1/500秒・ISO100

オールドデジタルカメラも趣味の道具になる

デジタルカメラはスペックの進化が激しい時期が長かったため、どうしても家電的な位置づけや仕事道具として捉えられる時代が長かったが、十分に趣味のカメラとしての魅力も備えている。デジタルレトロ画質の評価、時代の変化に果敢にチャレンジした製品としての価値。ぜひ趣味の写真ライフにオールドデジカメも採り入れてみていただきたい。