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カメラの大林オンラインマガジン プロ写真家レビュー! 「ゲキ推し交換レンズ選び2025」ソニー編×葛原よしひろ

写真・文:葛原よしひろ/編集:合同会社PCT

写真家 葛原よしひろ × ソニーレンズ

交換レンズ選び2025、ソニーレンズ編です。今回は写真家の葛原よしひろさんに、お手持ちのレンズより5本選んでいただき、解説いただきました。葛原さんも5本選定にとても悩まれた様子。その中で選ばれた5本、みなさんもぜひ迷える交換レンズ導入の参考にしてください。

葛原よしひろ
葛原よしひろ ジャンルに捉われず何でも撮影するマルチプレイヤースタイルの写真家。カメラメーカー等の写真セミナー講師としても全国的に活動している。 大阪芸術大学写真学科卒業 JPS(⽇本写真家協会)正会員 滋賀県⾼島市公認フォトアドバイザー 大阪YMCA国際専門学校 表現コミュニケーション学科特別講師 カメラグランプリ 2024,2025選考委員 SONY αアカデミー講師 SIGMA 撮影セミナー講師 EIZO ColorEdge Ambassador2017『水鳥の楽園ー水の故郷びわ湖高島ー』 ソニーストア大阪 2020 『安曇川穏景』 銀座ガレリア 2021 『いつでもどこでもαで撮ってきた』 ソニーストア大阪 2023 『Jumble』 京都写真美術館 その他 グループ展多数出展

はじめに

今回、私の推しのSONY FEマウント純正レンズ5本を紹介させていただくのですが、正直言って5本だけ選ぶなんて難しすぎます。悩みながら最終選考に残ったレンズだけでも、現在テーブルに11本有ります。全部好きなレンズなのに、ここから更に選ぶなんて辛すぎるのですが、ノンジャンルに撮影する私が、明日から色々な被写体を撮影するかもしれない撮影旅行に行くという仮定で、レンズ5本だけ持って行けるとしたら何を持って行くのか、妄想と想定を脳内で葛藤しながら、大好きなレンズを広角から超望遠まで断腸の想いで選んだ5本のレンズ!!作例も含めて御紹介させていただきますので、是非最後まで読んで下さい。

SEL20F18G(FE 20mm F1.8 G)

1本目は広角レンズのSEL20F18G(FE 20mm F1.8 G)です。このレンズを選んだ理由は、開放絞り値がF1.8と明るく、そして小型軽量な点です。

1枚目の作例は、京都市内を走る叡山電鉄の八瀬比叡山口駅で観光列車ひえいが出発する時に、駅員さんが出発合図の腕を降り下ろした瞬間です。小型軽量なこのレンズは私の好きな広角スナップに凄く適しているので、かなり使用頻度の高いレンズになります。そして夕暮れの太陽の光芒が鋭く美しいのも、このレンズの特徴として凄く好きな点になります。AFが速くて正確な点も、スナップ撮影に使用しやすく、とても頼れるレンズだと思っております。

α7C・絞りF22・1/60秒・ISO12800・WB 太陽光・撮影地:京都府京都市

2枚目の作例は、星景写真です。開放絞りF1.8を活かした夜景や星空の撮影に使いやすいのも、選んだ大きな理由になります。特に星の撮影で気になるサジタルコマフレアの収差が少ないのが、このレンズの優れた性能であり星の撮影には必ずと言って良いくらい持ち出すレンズになります。

α7C・絞りF1.8・8秒・ISO1600・WB AUTO・撮影地:滋賀県高島市

上記のように、風景だけでなく多くのシチュエーションで使い易く、単焦点レンズの解像感の高さも含め、私の中で最も使用頻度の高い1本としてオススメのレンズになります。

SEL55F18Z(Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA)

2本目は標準域の単焦点レンズ、SEL55F18Z(Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA)です。

このレンズはSONY FEマウントレンズとしては初期の頃から発売されており、当時の私は純正レンズとしてZEISSの名を冠したレンズが装着出来るという事に驚きと嬉しさを感じていました。実際に装着してみると、解像感もコントラストも高くて紛れもなくZEISS Sonnerレンズらしい写りを味わえるので、その時に感じた高揚感が持続したまま、現在に至るまで使い続けているレンズになります。小型軽量ですが、凄く質感の高い造りに持つ喜びが沸き立ちます。

作例1枚目は、このレンズで使用頻度の高いポートレートです。私にとって特に、背景を入れた全身撮影において、絶対の信頼がおけるレンズなので本当に手放せません。美しい発色とボケ表現の織り成す、このレンズならではの世界観は唯一無二だと思います。

α7 Ⅳ・絞りF1.8・1/320秒・ISO100・WB AUTO・撮影地:滋賀県高島市・モデル:りなぽそ

作例2枚目は、小川の上を踊る無数の蛍の光跡を、合成では無くスローシャッターで1枚撮りしました。開放絞りF1.8と明るいレンズなので、暗闇での撮影にも使い易く、ホタルの撮影において、光跡がより印象的に美しく表現出来るのも、このレンズを使う理由です。

α7 Ⅳ・絞りF2.2・30秒・ISO100・WB 蛍光灯1・撮影地:滋賀県高島市

SEL100M28GM(FE 100mm F2.8 Macro GM OSS)

3本目は最新のレンズSEL100M28GM(FE 100mm F2.8 Macro GM OSS)です。

このレンズの魅力は何と言っても、今までの常用マクロレンズの常識である1:1の等倍撮影を遙か彼方の過去に追いやる、最大撮影倍率1.4倍を実現したことです。

作例1枚目、手持ちAF撮影、しかも屋外で小さなニチニチソウの花弁についた雫を、等倍以上のマクロ撮影出来る日が来るなんて考えてもみませんでしたが、SONY αの技術が可能にしてくれました。屋外なので多少なりとも花は揺れるのですが、マクロ撮影においては、その少しの揺れが何倍にも感じます、ましてや撮影倍率1.4倍ともなると、その揺れ幅も実際の1.4倍になる訳です。それを自分の思い描く構図で今にも落ちてしまいそうな雫にピントを合わせて撮影しようとすると、素早い上に動体撮影での喰いつきの良い、極めて優秀なAF性能が要求されるのですが、このレンズに搭載された4機のXDリニアモーターが、それを高次元で実現してくれるので、本当!?と撮影中に思う程いとも簡単に撮影出来てしまいます。ここまで寄れるとトリミングの必要もない構図で撮影可能なので画質の劣化も防げます。何よりSONY Eマウントの最高峰GMシリーズのレンズらしく、マクロレンズに求めるピント面の解像感の高さは秀逸です。

α7 Ⅳ・絞りF2.8・1/800秒・ISO400・WB AUTO・撮影地:滋賀県高島市

作例2枚目はびわ湖の湖畔でキバナコスモスを、引きの構図で撮影してみました。解像感の高さもボケ表現の美しさも寄りの撮影時に負けず劣らず優秀な印象なので、幅広く撮影可能なレンズであることを物語っています。この撮影をしていて、ポートレートにも使用したくなるレンズだと思いました。

α7 Ⅳ・絞りF2.8・1/6400秒・ISO400・WB 太陽光・撮影地:滋賀県高島市

SEL70200GM2(FE 70-200mm F2.8 GM OSS Ⅱ)

4本目は、望遠ズームレンズSEL70200GM2(FE 70-200mm F2.8 GM OSS Ⅱ)です。

このレンズは、70-200mm F2.8のレンズとしては驚異的に軽くて、解像感も高く、AFスピードも速く、動体撮影時の喰いつきも素晴らしい、そして最大撮影倍率0.3倍まで寄れるという具合に、極めて万能性が高く、風景、ポートレート、スポーツ、動物、植物、etc、何を撮影しても魔法のようにスムーズに撮影出来てしまうといった印象の、文句なしに優秀なレンズです。

作例1枚目は富士山を望む霧ケ峰高原からの風景写真ですが、手前の木々が紅葉していく様を臨場感のある表現で色とりどりに、高い解像感で撮影することが出来ました。空と富士山の絶妙な青も好みです。

α7R Ⅳ・絞りF5.6・1/250秒・ISO125・WB 太陽光・撮影地:長野県諏訪市

作例2枚目、京都市動物園のマンドリルですが、実はこれSEL14TCの1.4倍テレコンバーターを装着して撮影した写真になります。テレコンバーターを装着した写真と思えないほど解像感が高くて、元のレンズ性能の高さも伺えます。

α7 Ⅳ・絞りF4・1/1000秒・ISO6400・WB AUTO・撮影地:京都府京都市

他のレンズとの兼ね合いで、ポートレートや動体撮影の作例を出せなかったのが少し心残りなくらい、本当に何でも撮影出来るメインレンズとして、凄く使用頻度の高いレンズです。レンズ選びに迷ったら、このレンズは買って間違いなしの1本だと思います。

SEL200600G(FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS)

5本目は超望遠ズームレンズSEL200600G(FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS)です。

1枚目の作例は千里川土手から旅客機を撮影した写真になりますが、三脚にジンバル雲台を装着して撮影しました。ジンバル雲台を使用する時に、インナーズームで伸び縮みがないこのレンズだと、バランスの変更が少なくて快適に撮影しやすい利点があります。解像感に関しても作例を見ていただけるとわかる通り、機体のメカニカルな部分だけでなく、マスクをする操縦士と副操縦士の表情まで見て取れます。AFも素早く、そして正確に向かってくる機体にピントを合わせ続けてくれますのでフレーミングに集中して撮影することが出来ます。

α7 Ⅳ・絞りF9・1/640・ISO200・WB AUTO・撮影地:大阪府豊中市

2枚目は京都市内を流れる鴨川で、佇むマガモの直ぐ近くにシロサギが降り立つ瞬間を撮影しました。この日は川の流れが緩やかで、紅葉真っ盛りの写り込みが印象的な撮影をすることが出来たのですが、レンズの発色の良さもわかる1枚だと思います。このレンズを選ぶにあたり最後まで迷ったのが、800mmの望遠端が魅力のSEL400800Gでしたが、200mmはじまりの当レンズの汎用性と望遠端での開放絞り値の明るさで、今回はこちらのレンズをチョイスしました。

α9 Ⅲ・絞りF6.3・1/2500秒・ISO2500・WB AUTO・撮影地:京都府京都市

まとめ

今回、改めて自分の使用するレンズを見つめなおす良い機会にもなり、この企画に感謝です。冒頭記載した通り本当に、SONYのEマウントには他にも大好きなレンズ、性能的に素晴らしいレンズが多く、選考する過程やテーマを変更した場合には、違うレンズの組み合わせも充分考えられます。例えば5本じゃなくて3本なら単焦点よりズームレンズを選んだのだろうと思ったりもします。

風景、ポートレート、動物、スナップ、みたいに各ジャンルだけに絞ったとしても余裕で5本選べる圧倒的に豊富なレンズラインナップは、SONY αシステムの魅力だと思いませんか?

もし、レンズ選びに迷った時は、気になる一本を購入するも良し、撮影する被写体からシステム的に考えて買い増しするのも良いと思います。その上で、全部含めてカメラの大林で気軽に相談して購入して頂けると、詳しいスタッフのアドバイスや違う視点も入るので納得したレンズ選びが出来ると思います。

今回、最後まで読んで戴き本当にありがとうございます。皆さんのレンズ選びの参考にして頂けると凄く嬉しいです。

今回のカメラ・レンズ

α7 Ⅳ
◉発売=2021年12月17日 ◉希望小売価格=オープン(実売・325,710円税込)

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α9 Ⅲ
◉発売=2024年1月26日 ◉希望小売価格=オープン(実売・833,778円税込)

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SEL20F18G(FE 20mm F1.8 G)
◉発売=2020年3月13日 ◉希望小売価格=169,400円(実売・139,590円税込)

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SEL55F18Z(Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA)
◉発売=2013年12月20日 ◉希望小売価格=130,900円(実売・105,930円税込)

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SEL100M28GM(FE 100mm F2.8 Macro GM OSS)
◉発売=2025年11月21日 ◉希望小売価格=オープン(実売・179,550円税込)

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SEL70200GM2(FE 70-200mm F2.8 GM OSS Ⅱ)
◉発売=2021年11月26日 ◉希望小売価格=オープン(実売・346,500円税込)

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SEL200600G(FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS)
◉発売=2019年7月26日 ◉希望小売価格=332,200円(実売・271,260円税込)

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