カメラの大林オンラインマガジン プロ写真家レビュー! 写真家 曽根原 昇 × ソニー FE 28-70mm F2 GM
写真・文:曽根原 昇/編集:合同会社PCT
完成度の高いF2.0通し標準ズームGMレンズ
ソニーより昨年12月に発売したF2通しの標準ズーム「FE 28-70mm F2 GM」。今回は写真家 曽根原昇さんに、「GMレンズの技術を凝縮したようなレンズ」というその性能を作例を交えて解説いただきました。

- 曽根原 昇(そねはら・のぼる)
- 信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し、雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌などで執筆もしている。写真展に「冬に紡ぎき -On the Baltic Small Island-」(ソニーイメージングギャラリー銀座)、「関東牛刀ここにあり」(富士フォトギャラリー銀座)など、ほか多数。
目次
はじめに
ソニーの「FE 28-70mm F2 GM」は、フルサイズEマウント対応の標準ズーム。ズーム全域で開放絞り値をF2.0とした、大口径レンズであることが大きな特長です。
F2.0通しの標準ズームですので、さぞや大きく重いレンズかと思いきや、意外なほどに軽く小さく仕上がっているから驚きです。それでは、描写性能やAF性能はどうなの? と言うことになりますが、これまた「さすがGMレンズ!」と言えるだけの高い性能を兼ね備えていました。
大口径ながらも小型軽量なサイズ感
「FE 28-70mm F2 GM」の最大径×長さは、92.9×139.8mmで、質量は約918gとなっています。標準ズームで1kg弱という質量はいかにも重いですし、サイズもソニーのミラーレスカメラ「αシリーズ」に対してやたら大きい…

と言いたいところですが、開放F値がF2.0通しであることを考えると、実はとても軽量で実用性のあるサイズ感を実現したレンズだったりします。

ソニーは、光学性能は万全ながらも、ボディのコンパクト性をスポイルしてしまいかねないサイズ感だった、従来のGMレンズシリーズを、最近では描写性能はそのままに(むしろ向上しながら)、小型軽量化を推し進めています。「FE 28-70mm F2 GM」はそうした潮流のなかで誕生した、αレンズ初のズーム全域開放F値2を実現した標準ズームと言うわけです。

最新機能を盛り込んだ優れた操作性
そうした意欲的なズームレンズと言うこともあって、操作性についても最新のそれらが備えられています。

リング類は、レンズ先端から順に「フォーカスリング」、「ズームリング」、「絞りリング」と、他のGMレンズと同様の並びです。標準ズームでもシッカリと2か所に「フォーカスホールドボタン」を装備しているところは頼もしいですね。レンズ左側の「フォーカスホールドボタン」の下には、AFとMFを切り換えるための「フォーカスモードスイッチ」が備えられています。

インナーズームではありませんので、テレ端にズームすると鏡筒が伸長しますが、伸び幅はわずかなものですので、重量バランスの変化はほとんど気にする必要がありません。

アイリスリングの傍、レンズ左側には「アイリスロックスイッチ」があります。オンにすると、「A」ポジションで絞りリングを固定するか、またはF2.0からF22の間で自由に設定できるか(Aポジションに移動しないか)を選択できます。

同じくアイリスリングの傍、レンズ右側には「絞りリングクリック切り換えスイッチ」があります。こちらは主に動画撮影用のための機能で、撮影時に絞り操作で明るさを調整したい場合、クリックを無し切り換えれば無段階で自然に明るさを調整できます。

そして、GMレンズのなかでも一部の大型レンズにしか搭載されていなかった「ズーム操作感切り換えスイッチ(Tight/Smooth)」も搭載されています。ズームリングを動かすときの重さを調整するためのものですが、重量級の本レンズは少し下に傾けただけでズーム位置が変わりがちですので、撮影中、意図せずズーム位置が変わって欲しくないときなどには、意外に「Tight」は重宝します。

花型のレンズフード「ALC-SH182」が同梱されています。GMレンズ用のレンズフードらしく大変立派な造りで、ロックボタンの装備はもちろんのこと、内部の遮光処理も万全という優れた仕様。

標準ズームのレンズフードながら「レンズフードフィルター窓」が備えられているところもGMレンズらしさです。円偏光フィルターをよく使う風景・ネイチャー写真家や、可変NDフィルターが必須とされる屋外での動画撮影をする人にとっては、とても有難いことでしょう。
絞り開放からの高い解像性能
αレンズ初のズーム全域開放F値2を実現したということで、こうした大口径レンズであってもGMレンズらしい解像性能はでるのか? 試してみたくなるところです。

ソニー α1 II・FE 28-70mm F2 GM・焦点距離28mm・絞りF2.0・1/2000秒・-0.7EV補正・ISO100・WBオート・クリエイティブルック スタンダード
と言うわけで、その解像性能を確認するべく、広角端の焦点距離28mm、開放絞り値のF2.0で撮影したのが上の画像になります。絞り値がF2.0の広角端とは、とても思えないくらいの素晴らしい解像感です。さすがGMレンズと言ったところでしょう。画像を拡大して見ると、画面周辺ではいくらか解像感が甘くなるところもありますが、実用性と言う意味ではほとんど気になることはありません。しかも、2段分絞ってF4.0にすれば、そうした極わずかな解像感の甘さもほとんど解消されます。

ソニー α1 II・FE 28-70mm F2 GM・焦点距離70mm・絞りF2.0・1/2500秒・±0EV補正・ISO100・WBオート・クリエイティブルック スタンダード
一方で、望遠端の焦点距離70mm、開放絞り値のF2.0で撮影したのが上の画像になります。画面中央での解像感の素晴らしさはそのままですが、広角端に比べると外面周辺での甘さはこちらの方がやや多めになるようです(それでもズームレンズとしては些少のことですが)。画面全体が文句なく安定するのは3段程度絞ったF5.6以上。しかし焦点距離70mmではパンフォーカス的な表現よりも、被写体を中心に寄せてボケ味を重視した画作りをすることがほとんどですので、やはり実用的にはまったく問題なく、十分にGMレンズらしい高解像を得られると考えてよいと思います。
テレ端の近接撮影性能は優秀
近接撮影性能です。昨今の標準ズームは標準ズームでありながら、驚くほど高い近接撮影性能を見せてくれるので、日常使いでも「小さなものを大きく撮れて」とても便利という印象があります。高性能ズームは、一般的に画質重視で近接撮影性能は遠慮気味と言うことが多いような気がしますが、本レンズの実力はどのようなものでしょうか?

ソニー α1 II・FE 28-70mm F2 GM・焦点距離28mm・絞りF2.0・1/800秒・+1.3EV補正・ISO400・WBオート・クリエイティブルック スタンダード
近接撮影性能です。昨今の標準ズームは標準ズームでありながら、驚くほど高い近接撮影性能を見せてくれるので、日常使いでも「小さなものを大きく撮れて」とても便利という印象があります。高性能ズームは、一般的に画質重視で近接撮影性能は遠慮気味と言うことが多いような気がしますが、本レンズの実力はどのようなものでしょうか?

ソニー α1 II・FE 28-70mm F2 GM・焦点距離70mm・絞りF4.0・1/250秒・+1.3EV補正・ISO400・WBオート・クリエイティブルック スタンダード
望遠端の焦点距離70mmで撮影したのが上の画像になりますが、望遠端となると、本レンズの近接撮影性能も一変すると言った印象。この時の最短撮影距離は0.38mで、最大撮影倍率は0.23倍です。1/4マクロに迫ろうと言うくらいのこの近接撮影性能でしたら、被写体を大きく写しつつ、大口径レンズの強味を活かした大きなボケとともに、自由な表現が可能となるのではないかと思います。
FE 28-70mm F2 GMの作例

ソニー α1 II・FE 28-70mm F2 GM・焦点距離50mm・絞りF2.0・1/1000秒・±0EV補正・ISO400・WBオート・クリエイティブルック スタンダード
F2.0通しの標準ズームですので、ポートレート撮影にはうってつけです。薄いピント面でも高い解像感を示しつつ、背景のボケ味はあくまで自然で美しいのは、さすがGMレンズと言えるでしょう。

ソニー α1 II・FE 28-70mm F2 GM・焦点距離70mm・絞りF2.0・1/800秒・+0.7EV補正・ISO400・WBオート・クリエイティブルック スタンダード
全身を写しながら、正確に瞳にピントを合わせるのは意外に難しいものですが、αシリーズカメラの多くは優れた瞳AFがありますので、難なくピントを合わせることができます。4基のリニアモーターを搭載しているため、AF駆動が素早いことも使い勝手を高めてくれています。

ソニー α1 II・FE 28-70mm F2 GM・焦点距離50mm・絞りF5.6・1/125秒・-0.7EV補正・ISO100・WB日陰・クリエイティブルック スタンダード
F2.0通しの標準ズームとしては小型軽量なレンズですので、スナップ撮影で使っても意外に違和感なく楽しめます。F5.6まで絞れば描写性能はますます高くなり、被写体の細部まで精密に描き出してくれるので、目についたものをどんどん切り撮っていきたくなります。

撮影データ:ソニー α1 II・FE 28-70mm F2 GM・焦点距離36mm・絞りF5.0・1/3200秒・-0.7EV補正・ISO100・WB日陰・クリエイティブルック スタンダード
逆光耐性も非常に高く、太陽などの強い光源が画面内に入りやすい広角域でも、安心して使えます。これは内面反射を抑えた優れたレンズ設計とともに、最新の「ナノARコーティング II」が採用されているためだと思います。
まとめ
存外に軽く小さく、描写性能は優秀で、AFも速く正確な「FE 28-70mm F2 GM」。ソニーの最高峰であるGMレンズの技術を凝縮したようなレンズです。個人的には、フルサイズに限らず、これまでに登場したF2.0通しの標準ズームのなかで最も完成度が高いのではないかと思いました。
最高クラスのレンズですので高価なのは仕方がありませんが、新製品が登場するたびに価格が跳ね上がっている昨今の状況を考えると、案外良心的な値段に落ち着いているのではないかとも思えてきます。優れたソニーのミラーレスカメラの性能を引き出せるという意味では、最適な選択と言えるのかもしれません。