カメラの大林オンラインマガジン プロ写真家レビュー! フォトグラファー 河田一規×ハッセルブラッドX2D 100C
写真・文:河田一規/編集:合同会社PCT
ハッセルブラッドX2D 100C & レンズ3本を実写レビュー!
今回は河田一規さんにX2D 100Cとレンズ3本で撮り下ろしいただきました!高画素中判カメラでありながら小型軽量を両立した本機の実力を、たくさんの作例とともにお届けします。
- 河田一規 (かわだかずのり)
- 1961年神奈川県横浜市生まれ。小学3年生の頃、父親の二眼レフを持ち出して町内を撮り歩き写真に開眼。10年間の会社勤めの後、写真家・齋藤康一氏に師事。4年間の助手生活を経てフリーに。 雑誌等の人物撮影、カメラ雑誌での新機種インプレッション記事やハウツー記事の執筆、JCIIデジタル教室の講師などを担当。カメラはフィルム、デジタル、iPhoneを分け隔てなく愛用。
目次
はじめに
ハッセルブラッドXシリーズは約44x33mmサイズのセンサーを搭載した中判ミラーレスカメラです。一般的に「フルサイズ」と呼ばれるセンサーサイズは約36x24mmですので、それよりもひと回り大きなセンサーサイズですが、ボディ内にメカニカルなシャッター機構が必要ないレンズシャッターを採用する等の小型軽量化に対する努力により、中判カメラとしては驚くほどコンパクトなサイズ感を実現しているのが特徴です。
そんなハッセルブラッドXシリーズの最新モデルが今回レビューしたX2D 100Cです。最新といっても発売は2022年9月ですので、すでに2年以上前の製品になりますが、ハッセルブラッド製品はライフサイクルが長いことや、いろいろな点でライバルとは違う方向性のカメラなので、今でも充分に新鮮な印象があります。
ハッセルブラッドとは
一番最初に作られたハッセルブラッドのカメラは第二次大戦中の空撮カメラで、これはハッセルブラッドの母国であるスウェーデン政府から依頼された偵察用途の軍用カメラであり、もちろん市販はされませんでした。その後、ハッセルブラッドは市販用の民生カメラとして、ブローニーフィルムを使用する6x6フォーマットのレンズ交換式中判カメラを新たに開発、製造し成功を収めます。そんな民生用ハッセルブラッドをプライベートで購入した宇宙飛行士(ウォルター・シラー)が1962年、宇宙飛行の記録にハッセルブラッドを使ったことでNASAとハッセルブラッドの協力関係が始まり、アポロ11号の月面着陸(1969年)時にも使用されたことはあまりにも有名です。
こうした「特例」以外にもハッセルブラッドは多くのカメラマンに愛用され、スタジオ用途はもちろんのこと、ポートレートや風景撮影など、あらゆる分野で活用。フィルム全盛時代には中判カメラの代名詞的な存在となります。2017年にはDJIが親会社となりましたが、もともと空撮カメラから始まったハッセルブラッドが、ドローンという現代の空撮カメラとして有名なDJI社と組むことになったことは符合の一致的な観点でとても興味深く感じます。なおハッセルブラッド本社は現在もスウェーデンのイェーテボリにあります。
X2D 100Cの上面には「HANDMADE IN SWEDEN」の刻印があります
レンズ鏡胴にはHASSELBLADの文字と共にアイコニックな「V」マークを冠したプレートが付されています。この「V」はハッセルブラッドでカメラ製造事業を始めたVictor Hasselbladの頭文字です
ハッセルブラッドXシリーズのモデル変遷
ハッセルブラッドXシリーズは2016年発売のX1D-50cから始まりました。それまでもデジタル中判一眼レフは存在しましたが、ミラーレス化されたレンズ交換式中判カメラとしてはX1D-50cが世界初。画素数は5000万画素、スカンジナビアデザインのシンプルな造形の薄型ボディなども話題となりました。その後、2019年にはX1D-50cの改良モデルであるX1D II 50Cが登場。画素数は5000万画素のままですが、EVFや液晶モニターの高解像度化や起動時間、操作レスポンスの向上などが盛り込まれています。2022年には今回レビューするX2D 100Cが登場しますが、X1D II 50Cは併存モデルとして引き続きラインナップされています。
従来モデルX1D II 50Cに対するX2D 100Cの機能的な進化点は下記の4点です。
1、撮像素子が5000万画素から1億画素へ高画素化
2、ボディ内手ブレ補正機能の搭載
3、位相差AFの搭載
4、記録媒体として1TBのSSDを搭載
これ以外の大きな変更点としては動画撮影機能の有無があります。X1D II 50Cでは動画撮影も可能でしたが、X2D 100Cでは動画撮影ができない静止画専用機となっているのです。この点については賛否あると思いますが、個人的にはすべてのカメラで動画撮影機能が必須とは思えず、たまには静止画撮影に全振りした静止画専用機があってもいいのではと強く思います。
超絶高解像な細密撮影が可能
X2D 100Cに搭載された1億画素の裏面照射型CMOSセンサー。正確な大きさは43.8x32.9mm。ピクセルサイズは3.76μm
まず画素数についてはX1D II 50Cの5000万画素から倍の1億画素へと高画素化されました。どのくらいまで画素数が必要かという話については人それぞれですが、35mm判フルサイズ機が6000万画素に達している現在、それよりセンサーサイズが大きい中判機としてはこのくらい欲しいと思う人も多いでしょう。組み合わせるレンズにもよりますが、画素数が多いほど解像度は上がり、より細かい部分まで解像した精密な描写を得られます。とてつもなく大きなプリントを行いたいときに有利なのはもちろんですが、トリミング耐性が高くなるのも高画素化の大きなメリットです。
手前のレインボーブリッジ背面に穿たれたリベットの描写から遥か奥の方に見える遠景まで、これぞ1億画素と思える圧倒的に超絶精密な解像感はやはり「スゴい!」のひと言で、正直「ここまで解像するのか・・・」と驚きます。なお、ハッセルブラッドにはHasselblad Natural Colour Solution (HNCS)に対応した現像ソフトPHOCUSが無償提供されていますが、今回は手慣れたPhotoshopのCamera RAWを使ってすべての作例を現像しています。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF16・1/160秒・-0.33EV補正・ISO200
RAW現像時にモノクロ化すると共に16対9アスペクトにするため上下をトリミングしましたが、それでも約7300万画素も残りました。1億画素のトリミング耐性は抜群です。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF11・1/200秒・ISO64
このような細かい枝葉と色彩が織りなす風景的写真(都内公園ですが)はまさしく1億画素の真骨頂だと思います。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF2.5・1/80秒・-0.67EV補正・ISO100
超絶高解像な細密撮影が可能
2番目の特徴であるボディ内手ブレ補正ですが、5軸7段の効果を持つセンサーシフト式の手ブレ補正を搭載しています。これによりボディの厚みはX1D II 50Cに比べて当然増していますが、手ブレユニットは中判用としては非常に小型化されたもので、ボディ厚の増加はわずかです。実際に使ってみると手ブレ補正の効果は絶大で、かなりのスローシャッターでもブレずに撮影することができます。ブレに対してはひときわシビアな1億画素機を、暗いシーンでも手持ちでけっこう気軽に撮れてしまうことにテクノロジーの恩恵を感じずにはいられません。
1億画素の近接撮影で1/60秒というのは実はけっこうブレやすいシチュエーションですが、X2D 100Cの手ブレ補正は信頼性が高く、1/60秒でブレたカットは1枚もありませんでした。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF2.5・1/60秒・ISO400
クルマのライトの軌跡を出すために0.8秒のスローシャッターで撮影しましたが、まったくブレておらず、ピントを合わせた画面中央部にある手すりがシャープに描写されています。もっとスローな1秒以上でも試してみましたが、そちらもブレの歩留率は50%くらいと満足できる結果となりました。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF5.6・0.8秒・-2.33EV補正・ISO64
位相差AFによるピント性能向上
X1D II 50CまではコントラストAFオンリーでしたが、X2D 100Cはついに位相差AFも搭載され、AFが高速化されました。筆者はX1D-50cの使用経験はありますが、残念ながらX1D II 50Cを使ったことがなく、それと比べてどのくらい高速化されたのかは実感できませんが、X1D-50c比では格段に高速化されていることを確認できました。ただしそこは中判カメラ。APS-C機やフルサイズ機に比べて同一画角ならレンズの焦点距離が長くなることもあって、驚くほど高速AFということはなく、現在のミラーレス機においてはどちらかというと遅い方だと思います。フルサイズ機についてはAF競争が熾烈で、どれだけ高速にピントを合わせられるか、たとえ被写体が動いていようと、もはや容赦なく合焦するのが当たり前という世界になりつつあるのと比べると、正直相当な性能差があります。とはいえ、X2D 100Cはスポーツ撮影をするために設計されたカメラではありません。普通の静止被写体であれば、ほぼ問題ないAF速度で合焦を得られます。また、AF精度は非常に優秀で、使い方さえ間違わなければ(例えば合焦後に体が前後に動いてしまうとか)きわめて高精度なAF撮影が可能です。
90mmレンズで絞り開放の近距離という、とても被写界深度が浅い撮影でしたが、合焦精度は非常に高く、満足できるAF性能です。動いている被写体に連続的にピントを追従させるのは限度がありますが、多くの被写体ではほぼ問題ないAFだと感じました。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF2.5・1/100秒・ISO100
掲載した画像はちょっとハイキー気味に仕上げましたが、実際は花の部分はかなり暗く、背景が明るい逆光状態というAF的にはちょっと難しい状態でした。それでもAFは迷うことなく正確に合ってくれました。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF2.5・1/60秒・ISO64
AFポイントのサイズ「大」で、AFフレーム内に遠近両方の被写体が混在する場合、自分が使った限りは遠方の被写体に合焦してしまうことが多かったです。そんな場合でもEVFの解像性能が良いので、本意ではない部分にピントが合っていることはすぐに認識できます。この場合の対応策はAFポイントを「小」に切り換えればOKです。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF2.5・1/60秒・-0.67EV補正・ISO400
1TBのSSDを搭載
X2D 100Cの大きな特徴3つめは記録媒体として1TBのSSDを内蔵していることです。GB単位の内蔵メモリーを搭載しているカメラは今までにもありましたが、1TBというのは民生用カメラとしてはおそらく初めてではないでしょうか。X2D 100Cの画像ファイルサイズはRAWで1枚212MB前後、JPEGでも1枚40MB前後と大きいため、記録メディアもそれなりに大容量なものを用意する必要がありますが、内蔵メモリが1TBもあればRAW+JPEGでも約4000枚(設定によって変わります)もの撮影が可能となり、外部メディアに頼ることなく、内蔵SSDだけで運用することも充分に現実的です。
実際、今回の撮影はすべて内蔵SSDだけで済ませ、外部メディアは使用しませんでした。なお、外部メディとしては512GBまでのCFexpress Type Bカードに対応していますので、RAWは内蔵SSD、JPEGはCFexpress Type Bカードといった書き分け記録も可能です。
液晶モニター右下に表示されているのは撮影可能枚数。約330枚撮影しても、内蔵SSDだけでまだ3768枚も撮影可能枚数がある(RAW+JPEGの画質設定)ことを示しています。
X2D 100Cの使用感は
ここからはX2D 100Cを使って感じたことを書いてみたいと思います。
手にしてすぐに感じたのはとにかくデザインが素敵ということです。X1D-50cを使ったときにも思いましたが、シンプルでクリーンな北欧デザインは日本のカメラにはない造形美でとにかく美しいですし、使っていても気分が高揚して楽しい!
このシンプルな思想は操作面も同じです。操作部材が厳選されていてボタン類は少なめですが、機能も絞られていることや、ユーザーインターフェースがよく考えられていることもあって、慣れるととても使いやすいです。
X1D II 50Cまであったモードダイヤルは小型の液晶表示に代わり、絞り値やシャッター速度、ISO感度等の各種ステータスが表示されます。フォーカルプレンシャッターがないこともありますが、ボディ内手ブレ補正機構を備えながらこの薄くスリムなボディ形状なのは他にない魅力です。
メニューはよくあるタブ式表示ではなくタイル表示ですが、一覧性が高く初見でも迷うことなく操作ができます。ボディ形状は横幅は狭めですが、高さ方向はそれなりにあるため右手の小指までシッカリと指が掛かり、グリップ感はとても良好です。
これはAFポイントのサイズ設定中の表示ですが、ご覧の通り選択項目の表示がすごく大きくて、ものすごく分かりやすいです!当然タッチ操作もしやすいです。
X1D II 50Cまではストラップ取り付け部のアイレット形状がごく普通のタイプ(丸環等を介してストラップを取り付けるタイプ)でしたが、X2D 100Cでは往年のハッセルと同じワンタッチ脱着タイプに変更されました。ストラップが邪魔になるときは即座に外せてとても便利です。自分が試した限りでは往年のハッセルブラッド500CM時代のストラップとも相互互換があるようです。このタイプは取り付け部がクルクルと回転してしまい、ストラップがネジれやすいのが欠点ですが、逆方向にクルクルすれば簡単にネジれを戻すことができます。
ちょっと驚いたのがEVFの視度調整機構です。よくあるメカニカルなダイヤル式ではなく、メニューから視度調整を呼び出して電子ダイヤルで行う電子式なのです。視度補正調整中はこのような画像がEVFに表示され、文字がハッキリと読み取れるように調整すればOKです。どのメーカーも旧態依然と昔から変わらない機構を採用し続けている中、これはかなり先進的です。前述したVictor Hasselbladの「Victor」を文字列に採用していることもカメラ事業創始者に対するオマージュを感じます。
X2D 100Cと3本のレンズ
今回はXCD Vシリーズレンズの中からXCD 2.5/25V(フルサイズ換算20mm)、XCD 2.5/55V(フルサイズ換算43mm)、XCD 2.5/90V(フルサイズ換算71mm)の3本をX2D 100Cと組み合わせて使用しました。ここからはそれらのレビューを含めたX2D 100Cの使用感を述べたいと思います。
XCD 2.5/25V。フルサイズ換算20mm相当となる超広角レンズです。
4枚の非球面レンズと3枚の異常分散レンズを含む10群13枚のレンズ構成による画質は素晴らしく、解像感も申し分ありません。橋脚に映り込む水面の煌めきを含め、思った通りの写りを得られました。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/25V・絞りF11・1/125秒・ISO64
広角レンズなので画面内に光源が入りやすいと思いますが、完全な逆光、しかも周辺部に光源が入ってもコントラスト低下などは一切ありません。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/25V・絞りF8・1/250秒・-1EV補正・ISO64
XCD 2.5/55V。中判用レンズとしてはかなり小型軽量で軽快に撮影できる標準レンズです。
画面サイズの対角線長に近い55mmは標準レンズとして、汎用性が高くいろいろな被写体に対応でき、とても使いやすい画角です。中判カメラとしては小型軽量なX2D 100Cとの組み合わせでは気負わないブラブラ歩きのお伴としても最適です。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF8・1/125秒・ISO64
光源が画面内に入る強い逆光状態ですが、ゴーストの発生はごく僅かに抑えられており、とても逆光耐性に優れたレンズです。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF8・1/1600秒・-1.67EV補正・ISO64
絞り開放時の玉ボケの感じはこんな感じです。画面周辺ではわずかにレモン形状になっていますが、そんなに気にするほどではありません。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF2.5・1/125秒・-0.67EV補正・ISO64
XCD Vシリーズレンズの「V」は汎用性(Versatile)を意味し、性能と大きさのバランスを重視したレンズですが、ピントのキレの良さやボケ味の良さなど、まったく不満に感じる部分はなく、非常に良く写るレンズという印象です。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF2.5・1/60秒・ISO100
1億画素化されたことで解像性能はもちろん上がっていますが、階調のつながりも非常によく、明暗差のあるシーンでも階調が破綻することはまずありません。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/55V・絞りF2.5・1/60秒・-1EV補正・ISO400
XCD 2.5/90V。フルサイズ換算で70mm相当となる中望遠レンズです。
1億画素のセンサーにも余裕で対応する解像性能で、画面中央から周辺部まで画像の乱れがほとんど感じられません。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF11・1/500秒・-1.33EV補正・ISO64
90mmで開放F2.5というのは口径比的には決して大口径というわけではなく、むしろ中口径ですが、それによって携帯性がよくスナップで使いやすいレンズになっています。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF11・1/100秒・ISO200
分厚いガラス越しに撮影しましたが、思ったよりも解像の落ちは少なく、とてもシャープな写りになりました。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF11・1/100秒・ISO200
背景との兼ね合いで相当に引き気味で撮影しましたが、絞り開放にすることで、背景をボカして臨場感を感じさせてくれる描写になりました。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF2.5・1/2000秒・ISO64
こちらも引きの撮影で、絞るか開けるか迷いましたが、あえて開放で撮影。主題と背景がちょうど良い具合に分離し、立体感のある写りになりました。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF2.5・1/180秒・ISO200
有名な小説「最後のひと葉」をイメージして撮影。中央の葉脈にピンポイントで正確に合焦して、背景の玉ボケを含めて思ったとおりに撮ることができました。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF2.5・1/100秒・-0.67EV補正・ISO64
フルサイズ換算71mmなので圧縮効果は小さめですが、それでも55mmと比べると厳然とした圧縮効果があります。
ハッセルブラッドX2D 100C・XCD 2.5/90V・絞りF5.6・1/160秒・ISO3200
まとめ
最近の各社最新鋭ミラーレス機はどれも素晴らしく、特にAF性能の向上には目を見張るものがあります。スポーツや野生動物など高速AFが必要な撮影者にとっては自分が狙ったとおりの撮影がしやすくなり、撮影の成功確率は以前と比べて間違いなく上がったと思います。一方、そこまでのAF性能を必要としないジャンルの撮影者も数多くいます。また、カメラのAF性能があまりに高くなると、どうしてもカメラに撮らされている感も強くなりますが、それをよしとせず、カメラと対話しながらじっくりと作品を撮りたいと思う人にとって、ハッセルブラッドX2D 100Cは最高の選択になると思います。
カメラの性能が高まることについて決して否定しているわけではありませんが、すべてのカメラが同じ様な性能を目指す必要もなく、別のベクトルを目指すカメラがあっても当然いいわけで、X2D 100Cのような選択肢があることは写真愛好家にとってとても幸せなことではないでしょうか。35mm判フルサイズ機と同じくらいか、むしろ良好なくらい軽快に扱えるサイズ感でありながら、長く使いたくなる圧倒的な「良いモノ感」など、このカメラでしか味わえない趣味性、そしてフルサイズ機を圧倒する高画質。たしかに高価ではありますが、それだけの投資をするに値するカメラとレンズだと強く感じました。