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カメラの大林オンラインマガジン プロ写真家レビュー! フォトグラファー 鎌田風花×ニコン Z50Ⅱ

写真・文:鎌田風花/編集:合同会社PCT

写真の楽しさを感じる、Z50Ⅱの魅力

上位機譲りの性能をもつ入門機、ニコンZ50IIが登場しました。今回はZ50IIのスペシャルコンテンツなどでも撮り下ろしされている、フォトグラファーの鎌田風花さんにレビューいただきました。美しい作例とともにお届けします。

鎌田風花
2017年よりフォトグラファーとして活動開始。優しい光をまとった、ナチュラルで透明感のある風景写真やポートレートを得意とし、暮らしや日々の小さな幸せを写真で表現することを大切にしている。家族写真の出張撮影や写真セミナーの講師、広告撮影などを中心に手掛けている。ニコンカレッジ講師。

はじめに

カメラ初心者の方から普段はフルサイズを使っている方まで幅広く愛されるような、大きく進化したNikon Z50Ⅱが登場しました!
私はスペシャルコンテンツなどで関わらせてもらいましたが、とても魅力的なカメラであるということを早くも実感しています。どういったところが魅力的なのかを、写真とともにご紹介していきます。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・絞りF5・1/400秒・ISO100・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

コンパクトで最新機能がギュッと詰まったZ50Ⅱ

APS-C機であるZ50Ⅱはライトユーザー向けのカメラという位置付けではありますが、上位機種譲りのAF性能とZ50よりも2倍明るくなった見やすいEVFで一瞬のシャッターチャンスを逃すことなく捉えられます。特にAF-Aの性能が上がり、通常は撮りたい被写体に合わせてモード設定を変えるところ、カメラが自動で判断して切り替えます。その分、撮影に集中ができるので私はZ50Ⅱの場合、基本設定をAF-Aにしています。

Z50Ⅱを持った時に感じたのは手にフィットする持ち心地の良さでした。コンパクトなボディではありますがグリップは深く、カメラを構えた時に安定感があります。レンズキットのひとつでもあるNIKKOR Z DX 18−140mm f/3.5-6.3 VRと一緒に使うことが多いですが、多少重さのあるレンズを付けてもグリップのおかげでしっかりと構えることができるので指だけに負担がかからず疲れにくいです。

Z50ⅡとNIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRの組み合わせ

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・絞りF6・1/320秒・ISO100・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

Z DX 18-140mmは解像度も高く、普段使いから旅行、作品撮りまでさまざまなシーンを1本でカバーすることのできる優秀で頼れるレンズです。本来の姿とは反対の世界を映す鏡を使って印象的な写真に仕上げたいと思い撮影しました。

“フレキシブルカラーピクチャーコントロール”で写真に自分らしさを

Z50Ⅱの大きな魅力は「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」機能が使えるところにあります。この機能を使うことによって写真や動画の”色味や質感”を自由に調整して撮影ができます。
私は今回、Z50Ⅱのためにオリジナルのフレキシブルカラー「Tender Clear」を作成しました。

ニコン Z50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・絞りF6.3・1/40秒・ISO160・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

花壇の隅に植えられていたケイトウという花のグラデーションが可愛く、ピンクを優しい雰囲気にしたいと考え自身のレシピを使用して撮影しました。

このレシピは「優しく、透明感のある世界観」をテーマに調整しました。シャドウに少し乗せた青で爽やかさと透明感を加え、明瞭度を下げて写真全体を柔らかな印象にすることで特徴のある雰囲気を作り出します。得意なシーンは光を多く取り込むような明るいシチュエーションですが、室内でもシャドウの青が際立ち個性のある仕上がりになります。ぜひダウンロードが可能になりましたら、いろんなシチュエーションで試していただきたいです。他にも様々なクリエイターがレシピを作成しているので、お気に入りを見つけて使ってみてください。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・絞りF6.3・1/400秒・ISO160・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

薄暮の時間のグラデーションが美しく、季節によって、日によって色も変わるので毎日でも撮影してしまいます。暗い街の部分である写真の下が重たくなりすぎないように、空と街のバランスを意識して切り取りました。

光の少なくなる時間帯でも、階調の滑らかさや解像度の高さを感じました。DXフォーマットでもZシリーズの性能の高さをしっかりと引き継いでいます。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・絞りF6.3・1/40秒・ISO125・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

木漏れ日に張っていた蜘蛛の巣が光をまとい、印象的でした。望遠端で撮影することにより背景を玉ボケに、見せたい蜘蛛の巣は少しアンダーな部分と重なるように構図を決めています。繊細な蜘蛛の巣を美しく描写してくれました。

Z50Ⅱにはピクチャーコントロールの専用ボタンが搭載されました。Z50Ⅱが登場するまではピクチャーコントロールを使う場合、iメニューを立ち上げてから使いたいものを選択し、といくつかの手順が必要でした。独立したボタンは、瞬時に自分が使いたいピクチャーコントロールにアクセスすることができるので、設定にかける時間が減ってより撮影に集中することが可能です。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・絞りF6.3・1/80秒・ISO400・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

設定にもたついてしまうことなく、望遠でアサギマダラを撮影することができました。綺麗に模様が見える角度で撮影ができるのは一瞬だったので、集中してタイミングを見計らいました。

また、31種類あるピクチャーコントロールは「絞り込み設定」をすることができ、お気に入りのピクチャーコントロールのみを表示させることも可能です。使いたいものがある程度決まっていて、たくさんある中から選ぶのに時間がかかるという方におすすめの設定です。

より自身の世界観を表現したい方はNX Studioを使ってご自身でレシピを作成してみてください。フレキシブルカラーがピクチャーコントロールに加わったことにより、さらに写真の表現の幅が広がりました。もちろんカメラやレンズが美しい描写と色を表現してくれるからこそ、フレキシブルカラーは成り立ちます。NikonのZシリーズだから使う意味のある機能です。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・絞りF4.5・1/80秒・ISO320・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

何気ないけれど心に留まるシーンは生活の中で時々訪れます。ブラインドから入る光と真鍮のオブジェがちょうど重なるタイミングで光と影の模様が面白かったので撮影しました。

雰囲気のある色味の状態でさっと撮れて、編集をする手間も省けてしまうので、そのままSNSなどへタイムラグなくシェアすることもできます。

AUTOモードで一瞬を逃さない

新しい機能としては撮影設定を全てカメラに任せる「AUTOモード」でもピクチャーコントロールが使用できるようになったことです。設定するのは難しいからカメラに任せたいけれど、雰囲気のある写真が撮りたい、というカメラ初心者の方でも撮影や写真表現を気軽に楽しむことができるようになりました。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・AUTO ( 1/250秒・絞りF5・ISO200)・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

歩いているときに、木漏れ日がとても綺麗!と感じてAUTO×フレキシブルカラーでとっさに撮影したものですが、芝生の緑と白が爽やかに表現されていて今ではお気に入りの1枚です。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・AUTO(1/320秒・絞りF6・ISO100)・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

光を多く取り込むシーンが得意なレシピなので、よく晴れた日に使うことも多いです。花壇に控えめに咲いていた小さなお花を主役にして玉ボケでキラキラ感を意識しつつ切り取りました。

「AUTOモード」には設定に手間取ることなく、突然やってくるシャッターチャンスを逃さないというメリットがあります。また、Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRの望遠側で撮影をすればこのような綺麗なボケ感で撮影することも可能です。

上位機種譲りのAF性能

AF性能は上位機種譲りでZ50から大きくアップデートされました。瞬時に被写体を認識し、検出対象のものであれば瞳や動いている被写体を追いかけてくれます。私は普段から愛猫を撮影することが多く、遊んでいたり動いているシーンはなかなか撮影が大変です。下の写真は予期せず寝返りを打って動いてしまったシーンなのですが、少し暗い室内でも瞳を捉えて自動でピントを合わせてくれたのでピントを外すことなく撮影ができ、安心感がありました。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z 28mm f /2.8・絞りF2.8・1/400秒・ISO200・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

気持ちよさそうにゴロゴロと寝返りを打っていた瞬間をとらえました。何気ない瞬間を逃さない、カメラを使う上でとても大切にしていることです。光と影のコントラストも意識して撮影しています。

人に対しても、背景があって動きのあるようなシーンではピントが外れることなくしっかりと被写体に合い、躍動感のある写真に。写真だけでなく動画撮影においても同様のAF速度を感じました。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・絞りF5・1/400秒・ISO100・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

ガーデンで女の子がふわりと揺れているシーンを撮りたくてモデルさんに動きをお願いしました。揺れている髪にも躍動感が出て軽やかな印象をイメージしてもらえると嬉しいです。

動画ユーザーにもおすすめのカメラ

エントリー機という位置付けではありますが4K UHDという、高画質な動画撮影が可能です。新たな機能として「商品レビューモード」が搭載されました。これは、商品を紹介するときに自分の顔から商品にスムーズにピントを合わせ、肝心の商品がぼやけるということを防いでくれる機能です。ニコンプラザさんで体験コーナーがあり、実際に体験しましたが顔から物へのフォーカス移動がスムーズかつ滑らかで驚きました。ボディ内手ぶれ補正は付いていないので、手ぶれ補正が付いているVRレンズを使うか、三脚で固定する、というような使い方がおすすめです。

まとめ

AFや撮影設定など、カメラに任せる部分は安心して任せ、フレキシブルピクチャーコントロールを上手く使いながら自分らしい写真表現を楽しむ。Z50Ⅱの魅力はそこにあると考えています。カメラを初めて持つ方でも直感的な操作で使いやすく、コンパクトなサイズ感なので持ち出しやすいというところもおすすめです。また、普段から撮影に慣れている方でも十分性能に満足し、EVFの見やすさや映像の美しさは撮っていて楽しいと感じるはずです。写真も動画も1日楽しみたい、という方は予備バッテリーがあると安心です。

ぜひ、Z50Ⅱで楽しみながら自分の表現したい写真にチャレンジしてみてください!きっと良い相棒になると思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

ニコンZ50Ⅱ・NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR・絞りF6.3・1/40秒・ISO320・ピクチャーコントロール/フレキシブルカラー【Tender Clear】

遠くで咲いていたブーゲンビリアの花をZ DX 18-140mmの望遠端で撮影しました。自分が動けない場所からでも被写体に寄って、綺麗なボケ感を描写できるこのレンズとZ50Ⅱのレンズは機動力も上がりシャッターチャンスを逃すことも減るのでおすすめです!

今回のカメラ・レンズ

ニコン Z50Ⅱ
◉発売=2024年12月13日 ◉価格=オープン(ボディ実売・130,680円税込)

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NIKKOR Z DX 18-140mm f /3.5-6.3 VR
◉発売=2021年11月26日 ◉価格=オープン(ボディ実売・73,260円税込)

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NIKKOR Z 28mm f /2.8
◉発売=2021年12月10日 ◉価格=オープン(実売・32,670円税込)

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