カメラの大林オンラインマガジン プロ写真家レビュー! フォトグラファー GOTO AKI ✕ キヤノンRFレンズ
写真・文:GOTO AKI/編集:合同会社PCT
GOTO AKI × キヤノンRFレンズ、オススメの5本はコレだ!
- GOTO AKI(ゴトウ・アキ)
- 1972年生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。株式会社丸紅にて天然ガスのパイプライン輸送ビジネスに携わった後、東京綜合写真専門学校写真芸術第二学科へ入学。鈴木清氏、小林のりお氏に学ぶ。1999年写真家としての活動を開始。風景撮影に自然科学の視点とスナップ撮影の手法を取り入れ、地球生命の胎動を捉える創作を続ける。個展「LAND ESCAPES」「LAND ESCAPES FACE」「terra」等開催。同名写 真集など、著書多数。2020年、写真展・写真集「terra」で日本写真協会賞新人賞を受賞。日本大学芸術学部准教授。
目次
お気に入りの5本をご紹介
2018年の発売開始以来、使用してきたRFレンズとRF-Sレンズは合わせて30本。ミラーレス化に伴いバックフォーカスが短くなった分、RFレンズはLレンズを筆頭にどのレンズもシャープな描写力が魅力です。F値のバリエーションも豊富で、ふわっとした描写からカリッとした硬めの描写まで、幅広い表現がさらに楽しめるようになりました。
自然風景は状況の変化が激しく、物理的に近寄れない場所も撮影対象になるため、ズームレンズを中心に愛用しています。その中でも自然風景の撮影でよく使用するお気に入りの5本を、作例を見ながらご紹介していきたいと思います。
RF24-105mm F4 L IS USM
「RF24-105mm F4 L IS USM」は広角域から中望遠域をカバーし、これ一本だけでも撮影が楽しめる万能レンズです。使いやすい焦点域をカバーしているため、広角域で撮影後すぐに、切り取りの撮影ができるためシャッターチャンスを逃しません。スペック的には全長107.3mm、質量700gの持ち運びのしやすいサイズとフィルター径が汎用性の高い77mmであることも気に入っているポイントです。
キヤノンEOS R5・RF24-105mm F4 L IS USM・絞りF5.6・1/500秒・-1EV補正・ISO800
尾白川渓谷で撮影した一枚です。南アルプスからの透明度の高い水と太陽光が差し込んだタイミングで広がった色彩の美しさに惹かれてシャッターを切りました。水面の流れは緩やかで、その動きを詳細に捉えるために、ISO感度を800にして1/500秒のシャッター速度を確保。自然風景の被写体の動きを静止して描写するためには目安の一つとして1/500秒以上の速いシャッター速度で撮るといいでしょう。 ピントは画面の中央付近にAFで合わせています。
キヤノンEOS R5・RF24-105mm F4 L IS USM・絞りF4・1/6400秒・-0.67EV補正・ISO400
これは海の岩場に繁っている藻を地面スレスレの低い位置から撮影した作例です。皆さんは「ボケの表現を楽しむには、明るいレンズでなければならない。」と思い込んでいませんか?レンズの開放値がF2.8でもF8でもその数値なりのボケの美しさがありますので、「RF24-105mm F4 L IS USM」でも存分に開放値F4のボケの表現が楽しめます。隠し味は「最短撮影距離」で撮ることです。このレンズの最短撮影距離は45センチですので、ピントが合うギリギリの距離まで近づくと空間的なボケの描写を楽しめるでしょう。
RF15-35mm F2.8 L IS USM
「RF15-35mm F2.8 L IS USM」は、自然風景の撮影では頻繁に使われる広角域をカバーしたLレンズで、全長126.8mm 、質量840g、フィルター径82mmのスペックです。開放F2.8 で撮影しても被写体の線、細部が微細に再現される描写力の高さが魅力です。
キヤノンEOS R・RF15-35mm F2.8 L IS USM・絞りF11・0.3秒・-1EV補正・ISO400
北海道のオンネトー湖畔から、焦点距離15mmで阿寒富士と雌阿寒岳の一部を捉えました。爽やかな早朝の空の色彩を強調するため、マイナス補正で落ち着いたトーンの空を描写しています。自然風景を広角ズームレンズで撮影するとただ広く写っているという散漫な描写になるため、ここでは影の黒を強調して画面を締め、空間に緊張感を生み出しています。
キヤノンEOS R5・RF15-35mm F2.8 L IS USM・絞りF4.5・1/25秒・-2.33EV補正・ISO1600
広い空間を切り取ることに加えて、広角ズームレンズはもう一つ得意な描写があります。それは狭い空間を広く見せることです。この作例では狭い洞窟の空間を15mmの焦点距離と遠近法で広く見せています。撮影のポイントは、レンズの左右、高低の被写体に近づけて撮ること。手前から奥までの距離感が生まれるでしょう
作例はレンズのイメージスタビライザースイッチをオンにして、手持ち撮影です。「RF15-35mm F2.8 L IS USM」をEOS R5に装着する場合、協調補正で約7段分の手ブレ補正効果があるため、暗い場所で三脚が使えない場面でもスローシャッターでブレのない手持ち撮影が楽しめます。
キヤノンEOS R・RF15-35mm F2.8 L IS USM・絞りF2.8・1/15秒・+0.33EV補正・ISO3200
こちらの星空の写真は、空が明るくなってきた朝の5時過ぎに三脚を使用して撮影しました。肉眼では見えない星も、開放F2.8のレンズは捉えます。木々の枝も線がシャープで繊細な造形が浮かび上がっています。
RF50mm F1.2 L USM
「RF50mm F1.2 L USM」は、開放F1.2の単焦点レンズです。全長108mm、質量950gでレンズの最大径は89.8mmあります。小さく、軽くというのが一般的に好まれる傾向があるようですが、画質を優先するというメーカーの強い意志を感じます。重量が手から伝わる分、撮影しているという実感が得やすいレンズです。手ブレ補正機能は非搭載ですが、EOS R5、EOS R6などの対応カメラに装着すると、協調補正で約7段分の補正効果が得られます。実用上手ブレの心配はほぼないと考えていいでしょう。
キヤノンEOS R5とRF50mm F1.2 L USM
キヤノンEOS R5・RF50mm F1.2 L USM・絞りF1.2・1/8000秒・−1.33EV補正・ISO400
このレンズの魅力はF1.2の強烈なボケ味です。ピントを合わせた箇所はシャープに、その前後はふわっと大きくぼけます。平面の写真の中に空間が広がる感覚が気持ちよく、F値1.0と言われる人間の肉眼で見る光景に近い描写が楽しめます。レンズの描写がわかるまでは、被写体を目で見て判断するのではなく、面白いかも!と想像してまずは撮ってみましょう。
キヤノンEOS R5・RF50mm F1.2 L USM・絞りF1.2・1/4000秒・−1EV補正・ISO400
こちらの作例も同様にF1.2で撮影しています。新緑の色彩あふれるシンプルな絵柄ですが、画面に広がるボケが写真ならではの空間を描いています。目で見るより、写真がいいと感じられることが大事ですね。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
近年、景勝地では観光客が増えるに伴い、遊歩道や展望台、柵などの自然保護対策が進み、以前は近寄れた被写体に近づけない場所が増えています。また自然風景の撮影では、山の稜線や崖の上からなど物理的に近寄れない被写体を撮ることも多く、望遠ズームレンズの引き寄せ効果、圧縮効果、切り取り効果が威力を発揮します。
キヤノンEOS R5とRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
風景の撮影ではNDフィルターをよく使います。こちらの作例で使用したのはND1000。約10段分露出が落ちますので、露光時間は長くなります。F16、ISO50でおおよそ15〜20秒が目安です。長いレンズはブレやすいため、上の写真のように二点でレンズを保持すると安定します。
キヤノンEOS R5・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM・絞りF11・1/1250秒・-0.67EV補正・ISO400
写真を始めたばかりの方は、広い場所は広角レンズで撮ると思っていることが多いようです。広いところこそ望遠ズームレンズで気になった被写体を切り取りましょう。作例は光に着目して撮影した蔵王のお釜の一部です。手持ちで撮影する際はシャッター速度と関係なくイメージスタビライザーをオンにしたままで撮っています。
キヤノンEOS R5・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM・絞りF8・1/1000秒・-0.67EV補正・ISO400
200メートル離れた場所から、白川氷柱群のつららが画面いっぱいになるようにフレーミングして切り取っています。白飛びしないようにマイナス補正で撮影しました。
RF28-70mm F2 L USM
RFレンズのラインナップでも異彩を放つ「RF28-70mm F2 L USM」。開放F2通しのレンズは被写体の微細な線を写します。その描写力は発売から5年経った今も健在です。重量1430グラムは重いし、レンズも大きい。お値段も安くはない。それでもオススメのレンズなのです。F2の単焦点レンズ4本がワンパッケージされたようなお得感を感じています。個人的にはこのレンズは仕事用ではなく、作品専用レンズとして使っています。
キヤノンEOS R5・RF28-70mm F2 L USM・絞りF8・1/160秒・-1EV補正・ISO400
吾妻小富士のお鉢巡り。大地を細かく見ていくと複雑な色と形が浮かび、植物の線も色の種類も自然風景の豊かさを伝えてくれます。
キヤノンEOS R5・RF28-70mm F2 L USM・絞りF2・1/4000秒・-0.67EV補正・ISO100
F2で撮影した一枚。ピントを合わせた箇所はシャープに、それ以外は大きくボケて鑑賞者のスケール感や距離感を惑わします。
キヤノンEOS R5・RF28-70mm F2 L USM・絞りF11・1/1000秒・ISO200
初春の浅間山の眺望。雪解けの山肌、冬枯れの木々の線など細部の描写が美しく、大きくプリントしたくなるレンズです。
今回のカメラ・レンズ
キヤノンEOS R5
◉発売=2020年7月30日 ◉価格=オープン(実売:485,100円税込)
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RF24-105mm F4 L IS USM
◉発売=2018年10月25日 ◉価格=オープン(実売:166,320円税込)
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RF15-35mm F2.8 L IS USM
◉発売=2019年9月27日 ◉価格=オープン(実売:311,850円税込)
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RF50mm F1.2 L USM
◉発売=2018年10月25日 ◉価格=オープン(実売:321,750円税込)
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RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
◉発売=2020年8月27日 ◉価格=オープン(実売:374,220円税込)
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RF28-70mm F2 L USM
◉発売=2018年12月20日 ◉価格=オープン(実売:410,850円税込)
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