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カメラの大林オンラインマガジン プロ写真家レビュー! 写真家 桃井一至 × OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ実写レビュー!

写真・文:桃井一至/編集:合同会社PCT

2022年に発売され人気を博したOM SYSTEM OM-1に、待望の後継機が登場。OM-1を継承しながらも、ブラッシュアップされ更に進化したOM-1 MarkⅡの実力を桃井一至さんに実写を交えて解説いただきました。

桃井一至(ももい・かずし)
1968年、京都生まれ。 写真家アシスタントを経て、フリーランス。現在は撮影をはじめ、写真関係媒体の執筆やWebレポートなどを多数。イベント等への出演も多く、NHK「趣味悠々・デジタル一眼レフ撮影術入門」などでは講師を務めた。主な撮影ジャンルは人物・海外風景など。公益社団法人日本写真家協会会員(JPS)。
Youtube:「gizmomofreaks」

はじめに

オリンパス時代から進化を重ねてきた、マイクロフォーサーズ規格のフラッグシップモデルがOM-1 MarkⅡになる。

2020年秋、OM デジタルソリューションズ社の発足以降は2021年6月にE-P7、2022年2月OM-1、2022年10月OM-5と製品を送り出してきたが、同社としては初の世代交代。

約2年でのモデルチェンジは、モデルサイクルの相場として少々早い気がしないでもないが、直近の2モデルは2年で更新。それだけ力の入ったモデルとも言える。

本題のOM-1 MarkⅡは、OM-1を継承しながら、実用に即した連写性能やオートフォーカスの強化、同社が近年特に注力するコンピュテーショナルフォトグラフィの増強がトピックだ。



OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II・40mm(35mm判換算80mm)で撮影・絞りF2.8・1/640秒・ISO200・WBオート

キットレンズのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIは、適度なボケと高画質のバランスの良さが魅力。さらにコンパクトさとマクロ性能を求めるなら、同じくキットレンズのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROも用意されている。

進化した連写性能

連写性能はAF/AE固定(SH1)で最高約120コマ/秒、AF/AE追従(SH2)で最高約50コマ/秒(共に電子シャッター)と最高値はOM-1と同じだが、記録メディアへ書き込む直前に一時的にデータを溜めるバッファメモリを増強。これにより連写をキープできる時間が、OM-1と比べて大幅延長され、約309コマで6.2秒間程度まで可能になった。(OM-1では約117コマ、2.3秒程度)これにより、遠方から走ってくる電車を追いながら撮るようなシーンでも撮影中に息切れするようなことも、激減するはずだ。(SH2.AF/AE追従約50コマ/秒、JPEG LF時)

合わせて、連写速度の設定も細分化されて、被写体に応じて細やかな対応ができるようになり、連写速度と画質モード次第ではいわゆる書き込み詰まりを気にすることなく連写撮影が楽しめる。



OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS ・391mm(35mm判換算783mm)で撮影・絞りF6.3・1/1600秒・ISO800・WBオート

小刻みに動くメジロを捉えるのは至難の業。ピントは被写体検出(鳥)に任せて、構図に専念。この機能はE-M1X、OM-1を経て、三世代目。磨きがかかり、手前に枝や障害物があっても、迷うことなく鳥の目にピントを運んでくれる。

目玉のライブGND機能。手ぶれ補正も強化。

今回のモデルチェンジで、いちばんの目玉機能がライブGNDだ。

GNDとは「グラデーション·ニュートラル·デンシティ」の略。早い話がハーフND(減光)フィルターをカメラ機能として搭載したものだ。

これまでの画面全体の減光フィルター機能であるライブNDが最大ND128(7EV)まで強化されたのもトピックだが、スローシャッターで水流を流すような使い方が主。

一方、ライブGNDでは露出モードの制約もなく、露出差のある場面の明暗差を整えたいようなシーンでも、レンズを問わず、濃度や位置、境目のぼかし加減などを変えて、すぐ使える利便性がうれしい。同様のことを光学式角型フィルターで行うには、それなりに大きく重く、高価なことを思えば、内蔵されたのは歓迎だ。





OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO・14mm(35mm判換算28mm)で撮影・絞りF5.6・1/250秒・ISO200・WBオート

ライブGND(ND8,soft)を使い、明暗を境に画面右下にGNDを使用。明るい部分と暗い部分の露出差、3段分がフィルター効果でコントラストが弱まり、オレンジや軒下部分が自然な感じで明るくなっているのがわかる。

定評ある手ぶれ補正も最大8.5段ぶんまで進化。数年前までは断トツだった手ぶれ補正段数も、他社の猛追で肩が並びつつあったが、ここに来てまたリードを広げたことになる。

OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II・18mm(35mm判換算36mm)で撮影・絞りF2.8・2.5秒・ISO400・WBマニュアル

手ぶれ補正には定評のあるメーカーだが、今回のモデルは最大で8.5段もの補正を可能した。ここでは2.5秒を手持ち撮影。計算上はまだ余裕を残す段数だ。クルマのライトは流れ、空には星も見えている。

まとめ

実際に使ってみると、動きモノ派は連写強化になびくだろうが、個人的には新搭載のライブGNDの使い勝手が印象的だった。たとえばスナップふうに風景を撮っていても、雲のトーンがもう少し出るとうれしいシーンはよくあること。暗めに撮って暗部補正でシャドウを上げるなど、これまでも小細工でしのぐことはあっても、やはりフィルター効果の段数には敵わない。

流行りの星景撮影や野鳥撮影もAIをはじめとするデジタル技術でサポートする技術もよく練り込まれている。細かなところでは電子ダイヤルの表面処理やゴミ箱ボタンへのMENU機能割当て(ファームアップでOM-1も、2024年秋頃対応予定)など、操作性の細かなブラッシュアップもあり、着実に使い勝手もOM-1よりもワンランク上がっている。

レンズラインナップも軽量で高性能なF4通しのPROシリーズやアウトドア撮影に向いた超望遠やマクロレンズも充実してきている。また他社フラッグシップモデルは手の届かないプライスに高騰していくなか、趣味の道具としてみれば、なんとか常識的な価格に踏みとどまっているのもポイントだ。

作例

OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II・12mm(35mm判換算24mm)で撮影・絞りF2.8・1/160秒・ISO800・WBオート

オートホワイトバランスの精度アップを図ったという。特に体育館のような施設で効果を発揮しやすいとのこと。駅の地下通路で試してみたが、路面や手すりを見ても偏りも少なく、ほぼ見た目とイメージに近い仕上がりだ。

OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS・262mm(35mm判換算525mm)で撮影・絞りF7.1・1/2000秒・ISO800・WBオート

一世風靡したアートフィルターも健在。近年はメニュー追加の動きはないが、簡単に写真の雰囲気を味付けできるので重宝する。RAWデータがあれば、ボディ内現像や純正アプリで後処理できるが、その場の空気を感じながら撮りたいので、現場で切り替えている。ビンテージIIIを使用。

OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO・150mm(35mm判換算300mm)で撮影・絞りF5.6・1/160秒・ISO200・WBマニュアル

近年、F4クラスのPROレンズが充実。暗いレンズは画質面で劣ると揶揄されたが、すでに昔話でしかなく、ファインダーの明るさに影響しないミラーレス機では小型化など長所が光る。アウトドアはもちろん、街で気の向くままに使うにも軽快だ

OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO・38mm(35mm判換算76mm)で撮影・絞りF5.6・1/400秒・ISO200・WBオート

OMシリーズの鉄板レンズが12-100mmF4。まずはこれを核にして、被写体に応じた専門性の高いレンズに広げていくのがおすすめだ。少々サイズはかさばるが、高倍率ズームでこのサイズはマイクロフォーサーズなら。描写も精細で顕著なウィークポイントのない優等生だ。

OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8・25mm(35mm判換算50mm)で撮影・絞りF2・1/25秒・ISO200・WBオート


今回のカメラ・レンズ

OM SYSTEM OM-1 MarkⅡ
◉発売日=2024年2月23日 ◉価格=オープンプライス(実売:275,220円・税込)
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M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
◉発売日=2022年3月25日 ◉価格=134,750円(税込)
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M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
◉発売日=2016年11月18日 ◉価格=233,750円(税込)
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M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO
◉発売日=2022年3月25日 ◉価格=159,500円(税込)
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M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS
◉発売日=2024年3月15日 ◉価格=550,000円(税込)
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M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8
◉発売日=2014年2月28日 ◉価格=46,200円(税込)
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