カメラの大林オンラインマガジン プロ写真家レビュー! 写真家 落合憲弘 × ソニーα7CII、α7CR
写真・文:落合憲弘/編集:合同会社PCT
ソニーα7CIIとα7CRを実写レビュー!
初代「α7C」と同一のサイズ感で大幅なスペックアップを実現してきた、新生「α7CII」と「α7CR」。早速、ソニーαユーザーの写真家 落合憲弘さんがレビューする。
- 落合憲弘(おちあい・のりひろ)
- 1963年、東京生まれ。1988年よりフリー。学生の頃より歌って踊れる(撮って書く)スタイルを標榜し「写真に一途ではない」姿勢を悪びれることなく貫いた結果、幸か不幸か見事、器用貧乏に成り下がり今日に至る。人目を忍ぶ趣味、多数。コロナ禍の影響、甚大。2023年カメラグランプリ外部選考委員
目次
はじめに
いや、こりゃ、まいったね。ソニーには、すっかり心を読まれているようだ。
というのもワタクシ、ここ数年は「α7C」の使用頻度が高く、しかも「α7RIV」も所有していることから、日々「今日はどちらを持ち出そうか」なんてことを思いつつの写真生活を送ってきているからだ。そんなアーバンライフ(?)に「α7CR」とかいうニューモデルが飛び込んできたのだから、これはもうホントにマズイ。すでに心は揺らいでいる。
ぶっ飛びまくりのα7CRのみならず、α7Cの正統的な後継機である「α7CII」も同時にリリース
「α7C」が登場した当初、同モデルの世間的な評判は決して高くなかったように記憶している。確かに、発売前に試用した個体はメカ的な感触がダメダメだった。でも、どういうワケか製品版はかなりマトモな使用感になっていて、小型軽量な仕立てが良い意味100%盛りで際立つ仕上がりに。それまでも、αシリーズ(APS-Cとフルサイズの両方)を使ってきていたワタシは、ソニーお得意のフラットボディを纏ったフルサイズモデル、α7Cの佇まいと使用感に一目惚れだったのだ。
画質にも満足。フルサイズの2400万画素というのはやっぱりバランスがいい… そんなことを思わせる精緻な画作りと超高感度画質には、今もって不満を感じることがない。だからこそ、「今日はα7Cとα7RIVのどちらを持っていこうか」などと、「R」とガチで比較されている(ワタシの中では「R」との比較でも総合力では見劣りしてないと判断されている)のである。
さて、前フリが長くなってしまったけれど、まずはそんな事情を背景に、目の前に現れたα7CRに気を惹かれるなってのがムリな相談ってコト。そして、ソニーの強みとイヤミと底力が無遠慮に発揮されている「Cのボディに6100万画素」という必殺のコンビネーションには、ワタシごときがクラッとくる以前に、他メーカーが揃って嘆息しているんじゃないだろうか。「ソニーさん、そりゃないでしょ・・・」と。
しかも、ぶっ飛びまくりのα7CRのみならず、α7Cの正統的な後継機である「α7CII」も同時にリリースするのだから備えは万全。誰からも、そしてどこからも文句を言われないラインアップの構築には、これまた他社のタメ息が聞こえてくるような気がしてならないのだ。
新生「α7CII」と「α7CR」は、ものの見事にというか当然の成り行きというか、初代「α7C(写真右)」と同一のサイズ感で大幅なスペックアップを実現してきた。
この「小さなR」が放つインパクトが極めて大であることはもちろん、α7CIIが魅せる「α7III」→「α7IV」と相似の画素数アップと「α7RV」に倣うAIプロセッシングユニット搭載の両立は、完全独自の魅力と称しても差し支えないだろう。
各々の装着レンスは、左端のα7CRがこれも新製品となる「FE 16-35mm F2.8 GM II」、真ん中のα7CIIがキットレンズでもある「FE 28-60mm F4-5.6」。右端のα7Cはワタシの個人所有物で、このようにタムロン28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDとコンビを組ませ使うことがほとんどだ。
α7CR、α7CII、α7Cで解像度比較
【α7Cで撮影】
【共通・撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・16mm相当で撮影・絞りF2.8・1/640秒・ISO100・WBオート
【α7CⅡで撮影】
【共通・撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・16mm相当で撮影・絞りF2.8・1/640秒・ISO100・WBオート
【α7CRで撮影】
【共通・撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・16mm相当で撮影・絞りF2.8・1/640秒・ISO100・WBオート
α7CR、α7CII、α7Cそれぞれの解像度(画素数)を比較してみる。等倍で見ると、α7C初代とIIの差(2400万画素と3300万画素の差)は、細部の解像描写を含め「丁寧に少しばかりの拡大処理をした」といった雰囲気の違いにとどまるようにも思う。そこに決定的な差があるかどうかの判断は、見る者によって大きくブレることになるだろう。
一方、α7RCの6100万画素は、これはもうどこを見ても別格の仕上がり。まさしく"超高画素"ならではの再現描写が明らかに飛び抜けている。なお、α7Cの画像のみ周辺光量の低下が少ないのは、同機のみ周辺減光補正を切るのを忘れていたため。今回、α7CR、α7IIの作例は、すべて周辺減光補正OFFで撮影している。
α7CR×FE 16-35mm F2.8 GM II
【共通・撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・28mmで撮影・絞りF2.8・1/3200秒・ISO100・WBオート・−0.7EV露出
ゾクッとくるほどの精緻な再現描写が6100万画素の底力を見せつける。しかも、これはFE 16-35mm F2.8 GM IIの開放F2.8の仕上がりだ。ボディとレンズ双方の有り余る実力のコラボレーション。
これまでなかったアクセサリーである「グリップエクステンションGP-X2」
初代α7Cにソックリな両者を手にしてまず最初に抱いたのは「電源、入れにくっ!」という指先から来る印象だった。シャッターボタン周囲を囲むように存在する電源スイッチの位置や大まかな形状に違いはないものの、操作感は初代とは明らかに異なっている。ん? なんだこの違いは?
あらためて見てみると、スイッチの設置角度というか、指がかりになる突起の位置が初代とは異なっている。操作しやすいのは明らかに初代の方。α7CRとα7CIIは、揃って電源のオン/オフがしにくくなっているのだ。
でも、これは、初代に対し電源スイッチの誤操作に関する指摘が少なからずあったことに対する対策なのだと思う。確かに、「電源のオン/オフがしやすい=不用意に電源スイッチが動きかねない」のは事実。ユーザーサイドからの声を丁寧に拾い早々にカタチにするだなんて、意外にマジメなのね、ソニーさんって(笑)。
そして今回、α7CRにはこれまでなかったアクセサリーである「グリップエクステンションGP-X2」が同梱されているのも新しい。その名の通り、ボディ下部に装着することでグリップ部の下端を延長できるものなのだけど、これは「α7Cのグリップは小指が余る。けしからん!」という声に対するソニーの回答であるに相違ない。
α7Cを持ったときに小指が余るって、それを承知の上で使う小型ボディでしょーが! なんてことを個人的には思うし、多くのメーカーも「いやー、そういうモデルですから(キッパリ)」で済ませてしまいそうな案件なのに、ソニーはデザイン性にもまったく手を抜いていないグリップエクステンションを用意するのみならず、それをα7CRに「同梱」してきたのだから恐れ入谷の鬼子母神。たしかに、これを使うとグリップ性は明らかに向上する。あるとないとでは大違いだ(α7CIIには別売アクセサリーとして用意)。
グリップエクステンションGP-X2
◉発売日=2023年10月13日
◉メーカー希望小売価格=22,000円(税込)
でも、ワタシはせっかくの小型軽量ボディにこれは使いたくないと思ったので今回、実際にはほとんど使わずじまいだった。で、ソニーのホームページを見ると、本製品の説明に「通常の撮影ではグリップエクステンションを外しておき、大型レンズを長時間使用する際に装着することで、操作性を向上させることができます」なんてことが書いてある。
「大型レンズ」を「長時間使うときに」って、けっこう条件厳しめっていうか、「普段はぜんぜん使う必要はないのよ〜」って感じなところには思わずムフフだったのだけど(だってソニー自身があまり気乗りしていない感じなんだもん)、α7Cの小指あまりに関しては、多くの声というより、ごく一部の声の大きいインフルエンザ罹患・・・いや、インフルエンサーあたりが文句を言っただけなんじゃね? なんて気がしないでもありませんな(個人的な妄想です)。ソニーさんもいろいろタイヘンですネ(笑)。
見た目、質感、使用感のいずれにおいても満足度の高いグリップエクステンション「GP-X2」。装着したままバッテリー交換をできるようにするギミックも楽しく(テンション弱めのスプリングによりピョンと立ち上がる)、トータルして完成度は非常に高いのだけど、α7CRに同梱しちゃう(α7CIIには別売)なんてサービスしすぎじゃ? これを抜くことで仮に1万円安くなるならその方が・・・なんていう、ワタシのような声の小さなユーザーも世の中には少なくないような気がするのですが、いや、なんでもないですゴメンナサイ(笑)
ファインダーの見やすさ向上や、前ダイアルの追加など、初代α7Cから進化
電源スイッチの次にムムッとなったのはファインダーだ。ただ、こちらのムムッは羨ましく思う気持ちを抑えるのに精一杯のムムッである。視野率が明らかに向上しており、見やすさが大幅にアップしているのだ。実際には、総ドット数には変わりはなく、向上しているのは視野率(約0.59倍→約0.7倍)だけのようなのだけど、EVF全体のクオリティがアップしたようにも思える(あくまでも"それなり"だった初代α7CのEVFとはひと味違う)ファインダーに進化している。
さらに、さりげなく前ダイヤルが追加されているのも大きな進化だ。でも、お恥ずかしながらワタクシ、α7CRとα7CIIを使い始めてしばらくの間、前ダイヤルが追加されていることに気づかなかった。C以外のα7シリーズも常用している(前ダイヤルがあるのがアタリマエという感覚がある)から気づかなかったのだと思うのだけど、いや面目ない…。ひとつ言い訳をさせていただくなら、露出補正ダイヤルがコマンドダイヤルになってしまったことに、より大きな落胆を感じていたことが「前ダイヤル追加」のインパクトを弱めていたように思う。でも、前ダイヤルの存在は大切。こちらも、あるとないのとでは大違いだからだ。
α7CⅡ×FE 16-35mm F2.8 GM II
【共通・撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・16mm相当で撮影・絞りF8・1/320秒・ISO100・WBオート・+0.7EV露出
α7CIIによるFE 16-35mm F2.8 GM IIのワイド端、絞り開放F2.8撮影。ススキの穂に着目しつつ、画面右下に位置している金網の描写を見ると、レンズの実力とα7CIIの解像再現力の両方が実感できると思う。とりわけ、金網の再現は、遠方に至るまで不用意に塗りつぶすような描写に陥ることなく、とことん繊細な再現が成されていることがわかる。「R」でなくとも、その実力は決して侮れないということだ。
【共通・撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・25mm相当で撮影・絞りF2.8・1/1250秒・ISO100・WBオート・+0.7EV補正
α7CIIによるFE 16-35mm F2.8 GM IIの絞り開放F2.8撮影。焦点距離は、ワイド端から少しズームリングを回して25mm。このカットで着目すべきはボケの再現性だ。柔らかく繋がるボケは、これまた金網を写り込ませるという意地悪な撮り方をしているにも関わらず極限まで丁寧な再現を見せている。また、四隅ギリギリまでボケがまったく暴れていないところもワイドズームの開放撮影とは思えない。まさしく、非の打ち所がないレンズだ。
α7CR×FE 16-35mm F2.8 GM II
【共通・撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・35mm相当で撮影・絞りF2.8・1/200秒・ISO100・WBオート・−1.0EV補正
α7CRによるFE 16-35mm F2.8 GM IIの絞り開放F2.8撮影。焦点距離は35mm。ピント位置の描写は硬すぎず、しかしシャープで、画面の端から端まで丸ボケの形が歪むことがないなど、やはり描写には文句のつけようがない。それでいて軽量化にも抜かりのないソニーのレンズ。ワタシのような庶民にとって唯一の問題は、素晴らしい性能なりの価格・・・なのかも?
【共通・撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・16mm相当で撮影・絞りF2.8・1/2500秒・ISO100・WBオート・−1.0EV補正
大ボケのみならず、ちょいボケ部分にもクセを見せないところに、内に秘めたる実力を滲ませるFE 16-35mm F2.8 GM IIの絞り開放F2.8撮影。この立体感は、背景の形崩れしていないチョイぼけと周辺減光補正オフ設定による周辺光量落ちがいざなっているもの。描写力に余裕のあるレンズは、それはそれでいろいろ遊べるから楽しい。
手ブレ補正や、レリーズ感触などの操作性がさりげなく向上
手ブレ補正は、α7Cの5段から両者とも7.0段に向上しているという。これ、日常の使用では、なかなか正確に実感することができない要素ではあるけれど、「あれ? 思ったよりも手ブレ補正が効いていないような気が・・・」なんて思うこともなくはなかったこれまでを考えると、その印象がさりげなく変わっていることには期待ができそうだ。
一方、レリーズ感触は、α7Cよりも静粛化&低振動化されている印象も、α7CIIに関しては初代とほとんど一緒。α7CIIとα7CRでは、Rの方が若干、上質な音と手応えであるようにも感じるけれど、それもじっくり比べてみれば・・・ の範疇であり、よっぽど神経質でなければ、その違いがイヤになるほど気になることはないのではないかと思う。総合的には、α7の「C」に相応のレリーズ感触(若干バタつく印象は拭えない・・・ との評価もあり得る)ではある。
撮影モードダイヤル操作時の節度感が向上しているところには好印象だ。初代α7Cのどこかヌルッとした感触ではなく、よりカチッとした操作感が得られるようになっている。逆に、初代で露出補正専用だったダイヤルが操作汎用性のあるコマンドダイヤル化されたことで、コチラの感触はα7Cよりも緩めな設定に。個人的には、「C」に限らずすべてのα7で順次行われている「旧露出補正ダイヤルのコマンドダイヤル化」には反対の立場(ボディ上面を一目見ただけで露出補正の有無と設定値が認識できる露出補正専用ダイヤルの存在がありがたかった)なのだが、これも時代の流れと受け入れるしかないのだろう。
α7CR×FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
【撮影データ】FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS・400mm相当で撮影・絞りF5.6・1/2000秒・ISO1600・WBオート・−1.0EV補正
毛羽立つ羽毛の先端がつかめそうなほどの解像力に加え、飛びそうで飛ばないハイライトと丁寧にデータを保持するシャッドー部があるからこその"余裕のある描写"。それが、とことん軽快なフットワークの中で難なく扱うことができるという"奇跡のバランス"こそα7CR最大の魅力であるといっていい。
【撮影データ】FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS・400mm相当で撮影・絞りF5.6・1/2000秒・ISO2000・WBオート・−1.7EV補正
もちろん、そこでは動体に対しても一切の力不足を感じさせないAFの仕上がりがあってこその、トータルバランスに優れた使い心地がガツンと効いていることはいうまでもない。この作例に見られる状況下において、この被写体に対しこのピント精度が得られるミラーレス機が他にどれほどあるだろう? 被写体認識機能に頼らずとも、測距点自動選択(ワイド)設定でこの写真が撮れてしまうのがソニーαのスゴいところだ。
α7CR×FE 16-35mm F2.8 GM II
【撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・23mm相当で撮影・絞りF2.8・1/4000秒・ISO100・WBオート・−1.0EV補正
撮影データ上は露出補正なしでこの仕上がり明るさが得られているけれど、現実には開放F2.8+ISO100+1/4000秒でAEの連動範囲を超えた結果の「"白"の存在に惑わされていない露出設定」になった可能性が大。新旧「C」最大の弱点といってもいい「最速シャッタースピード1/4000秒」は、開放F値F1.2〜F1.4のレンズをピーカンの下で使うときなどに思わぬ足枷になる可能性がある。そこんとこには覚悟が必要だ。
【撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・35mm相当で撮影・絞りF8・1/1600秒・ISO100・WBオート・−2.0EV補正
α7CRによるFE 16-35mm F2.8 GM IIの長焦点側35mmでの撮影。絞りはF8まで絞っている。視野率を向上させたファインダーで仕上がりイメージを正確に掴みながら、大幅な露出補正をかけて撮影してみた。仕上がりに忠実なファインダー像が得られることの悦びはとても大きいのだが、このレンズは絞ってもあまり楽しくない・・・かも?
α7CⅡ×FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
【撮影データ】FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS・400mm相当で撮影・絞りF5.6・1/6400秒・ISO1000・WBオート
このカットでは、瞳認識がしっかり発動し正確なピントをプレゼントしてくれたのだけど、測距点自動選択(ワイド)設定からの被写体認識動作は、とりわけ動物や鳥に対しては少々、緩めな印象に終始。測距点1点選択(追尾AF含む)で、まずは大雑把にピントを合わせるべき被写体を教えてやってからの方がスムーズな認識動作をしてくれるように感じた。一方、α7Cとα7CIIの最速コマ速が約10コマ/秒であるのに対し、α7CRの最速コマ速が最高約8.0コマ/秒である点は、α7RIVやα7RV(両者約10コマ/秒)との差別化にもなり得る部分だ。
α7CⅡ×FE 16-35mm F2.8 GM II
【撮影データ】FE 16-35mm F2.8 GM II・35mm相当で撮影・絞りF2.8・1/1250秒・ISO100・WBオート・−0.7EV補正
AFに関しては、どうやらα7RVと同等の能力を有しているようなので、α7CIIとα7CRのAFもきっと知性を備えているんだと思う。だからなのだろうか。この場面でα7CIIのAFは、黄色に縞模様を纏った謎の生物、いや静物に対し、顔認識と瞳認識を行ったり来たり、明らかに迷っている様子だった。並みのAFなら、被写体認識には至らず至近優先のAF動作になっていたか、あるいはちょっと気の利くAFならフォルム全体を認識することで済ませていたハズ。それなのにα7CIIのAFは・・・。ここで被写体の認識に迷うことが知性の存在を裏付けているのだとしたら、ちょっとコワイかも(笑)。
まとめ
尖りまくりのα7CRは、ちょっと前のクルマでいうならBMW135iクーペとかフォルクスワーゲンゴルフR32みたいなもの。小型ボディに大排気量エンジンをブチ込んだかのような"ちょっと乱暴、でも爽快"なところがナンとも心地よい、新ジャンルのカメラに仕上がっていた。小さなボディの超高画素機というくくりなら、シグマ「fp L」も同類といえなくもなさそうだけど、カメラとしての"動力性能”を鑑みるのであれば、両者を同一のキャラにくくるのは適切ではないように思う。やはりα7CRは孤高の存在だ。
一方のα7CIIは、ある意味ベーシックではありつつも、きわめて正当的なブラッシュアップを経ての二代目襲名には、α7CRとは異なるベクトルの魔力が備わっているように感じた。そんな中でひとついえるのは、両者とも他メーカーがマネのできない尖り方を有しつつも基本クソマジメであるという、実に器用な存在である点が末恐ろしいという事実。どうやらソニーのカメラ作りには、未だいささかの息切れも見られないようだ。いやはやなんとも、スゴいっすね。
α7CR、欲しいなぁ・・・。