カメラの大林オンラインマガジン プロ写真家レビュー! 中古カメラの楽しみ方第3回〜藤井智弘
写真・文:/編集:
中古カメラを楽しむ際のポイントとは?
これから写真をはじめたい方も、ベテラン写真機愛好家も、カメラを買う際に新品と中古どちらを選ぶか、悩みは尽きないのではないでしょうか。今回のミニコラムは、新品以外の選択肢、中古カメラを楽しみたい初心者の方に向けて、写真家藤井智弘さんが全3回にわたり解説します。
- 藤井智弘(TOMOHIRO FUJII)
- 東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年に写真展を開催後、写真家になる。カメラ専門誌、WEBでの撮影や執筆、各種撮影や写真講師等で活動。作品では、国内や海外の街を撮影している。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。デジタルカメラグランプリ(DGP)審査員。NHK文化センター柏教室講師。
- ホームページ:https://fujiitomohiro.amebaownd.com/
- Instagram:https://instagram.com/fujiitomohiro
- Twitter:https://twitter.com/FujiiTomohiro
第3回は中古フィルムカメラについて
若い世代を中心に高い人気のフィルムカメラ。コンパクトから一眼レフ、レンジファインダーまで幅広く支持されています。しかし現在、フィルムカメラはラインナップが非常に少なく、新品で手に入れるのは困難。そこで注目が中古カメラです。中古なら、かつての名機が手に入るので、見逃さない手はありません。大林カメラはフィルムカメラの中古も豊富。お気に入りの1台がきっと見つかるはずです。
中古フィルムカメラを購入する際のポイントは?
レンズ交換式のフィルム一眼レフは、大きく分けると二種類。MF一眼レフとAF一眼レフです。これから初めて本格的なフィルムカメラを手にしたいけど、露出やピントなどカメラのことはまだわからず、手軽に撮れる機種が欲しい、という人にはAF一眼レフがおすすめ。「AF」は「オートフォーカス」のことで、ピントが自動という意味です。露出もピントもカメラ決めてくれるため、初心者でも楽しめます。また多くのAF一眼レフは自分で露出を決めることもできるので、上達したら様々な撮影モードに挑戦してみましょう。
カメラの操作をしっかり楽しむならMF一眼レフ。「MF」とは「マニュアルフォーカス」の意味で、自分でピントを合わせる、ということです。多くのMF一眼レフがピントはもちろん、巻き上げも巻き戻しも手動なので、カメラで写真を撮っている実感が強く湧いてきます。またクラシカルなスタイルもMF一眼レフの魅力。眺めていても楽しいカメラです。
注意する点は、一眼レフに限らずフィルムカメラの多くがメーカー修理期間を過ぎていること。特に電子制御のフィルムカメラは、故障すると修理できない場合もあります。購入時は、お店のアフターサービスについてしっかり確認しておきましょう。
ミラーレスカメラをすでにお持ちなら、マウントアダプターを使ってMF一眼レフのレンズだけデジタルカメラに装着が可能です。MFレンズは「オールドレンズ」と呼ばれ、こちらも多くのカメラ好きに大人気。同じレンズを被写体や気分によって「今日はフィルムカメラで」「今日はデジタルカメラで」と使い分けができます。現代のシャープな描写とは異なる、少し緩い雰囲気に仕上がるのがオールドレンズの魅力。フィルムでもデジタルでも、味わいのある写真が楽しめます。カメラもレンズも、お店のスタッフと相談して決めるのがベスト。カメラの大林には、フィルムカメラに詳しいスタッフがいるので安心して購入できます。
それでは、どんなフィルムカメラが人気なのか、前回と同様、カメラの大林スタッフの松田さんと滝さんに聞いてみました。(2023年9月現在)
カメラの大林スタッフの、松田さんと滝さんに中古フィルムカメラのあれこれを聞いてみた!
●よく売れているフィルムカメラは何でしょうか?
「ニコンNewFM2、FM3Aですね。以前よりフィルムカメラの定番と言われている機種ですが、現在も高い人気です。またライカMシリーズ、いわゆるM型ライカもよく売れています。またコンタックスT2やT3、ミノルタTC-1やリコーGRシリーズなど高級コンパクトも人気があります。やはり若い方がよく購入されます。すでにデジタルで写真を撮っている方が多いですね」
ニコン NewFM2ボディ
45,100円(税込)
●中判や大判カメラの人気はどうですか?
「動きは35mm判ほど早くはないですが、ハッセルブラッドやペンタックス67、マミヤ7、RZ67やフジGF670などが人気です。こちらも若い方が購入されるケースが目立ちますね」
●レンズの動きはいかがでしょうか?
「NewFM2などボディと一緒に購入される方は、50mm F1.4が多いですね。または35mm F2も人気があります。ズームレンズより単焦点レンズの標準から広角レンズが売れています。ミラーレスにオールドレンズを装着したい方は、ペンタックスのスーパータクマー55mm F1.8。キヤノンFDは数が少なく、主流はM42かニコンFマウントになります」
●フィルムカメラを購入する際の注意点を教えてください。
「フィルムカメラは古い機種が多いので、壊れにくくて修理しやすいカメラを選ぶといいですね。具体的には電子制御より機械式の方がおすすめです。デザインで選ぶ方もいますが、電子制御は故障すると修理できない場合もあるので、スタッフと相談して、ご納得した上で購入の決断をしてください」
●最近お問い合せの多い機種は何でしょうか?
「ずばりライカM6ですね。価格が30万円台から40万円もしますが、それでもお問い合せがあり、在庫があればすぐ売れてしまいます。数も少なくなっていますね。M4も人気はありますが、露出計がないので、やはり人気はM6に集中しています。逆にバルナック型はフィルム装填が面倒なせいか、あまり人気がありません」
ライカM6ボディ
385,000円(税込)
●フィルムカメラを購入される方の年齢層を教えてください。
「ニコンNewFM2など一眼レフを購入される方は、20〜30代が中心です。女性の方も多いですね。ライカは金銭的に余裕のある40代以上の方です。しかも圧倒的に男性ですね」
●海外のお客様に人気のカメラは何ですか?
「ライカやニコンですね。ニコンF3の元箱付きで未使用品、などレアなものを探している方も多いです。国は中国が多いですね。あとは韓国、タイ。欧米の方もいますが、アジア系のお客様が多いです」
ニコンF3HPボディ
165,000円(税込)
●フィルムの取り揃えはいかがでしょうか?
「入荷が非常に少なく、豊富に在庫できないのが現状です。そのためお客様も銘柄を選ぶことなく、在庫があればそれを買う、という状態です。特に富士フイルムは少ないですね。あればすぐ売れてしまいます。買占めを防ぐために、フィルムのご購入はお一人様二本まで、とさせていただいています。なお人気のフィルムは圧倒的にカラーネガですね。モノクロはあまり人気がありません」
●お店のオススメフィルムカメラはありますか?
「やはりニコンNewFM2ですね。数も多く、当店でもほぼ常に在庫があります。機械式の安心感もあり、おすすめできるカメラです」
●アフターケアはいかがでしょうか?
「フィルムカメラの多くは古い機種なので基本的に保証はありません。しかしご購入から2週間以内にテスト撮影していただき、不具合があった場合は修理や別の同型機と交換、または返金などをしています。修理の場合は、メーカー、あるいは修理専門業者に出しています。またフィルムの入れ方など、カメラの使い方もアドバイスしますので、初心者の方でも安心してご購入していただけます。すでにお持ちのカメラで使い方がわからない場合も、お気軽にご相談してください。フィルムカメラでよく使用される電池も取り揃えています」
●最後にお店のPRをお願いします。
「買取の依頼をいただくことも多く、中古商品は毎日のように入荷しています。毎日当店にいらしても楽しめると思いますよ。またフィルムカメラはホームページに掲載してから店頭に並ぶので、ホームページをご覧いただいてから店頭に足を運んでいただくのもおすすめです。遠方の方も、ホームページをぜひチェックしてみてください」
まとめ
フィルムをカメラに装填し、巻き上げながら一枚一枚じっくり撮影。現像されるまで、どう撮れているかわからないドキドキ感。そしてアナログならではの味わいのある写り。フィルムカメラにはデジタルにはない魅力がたくさんあります。またフィルムカメラには長い歴史があり、コンパクトからMF一眼レフ、AF一眼レフ、レンジファインダーなど、様々なモデルから選べるのも楽しさのひとつです。カメラの大林には、フィルムカメラを豊富に在庫。ぜひお気に入りの一台を見つけて、フィルムカメラライフを存分に堪能してください。